
今回の特集をするにあたって、三島由紀夫の書いた本を何冊か読んでみたのですが、短期間で一気に読むものではないですね。とても特異な体験でした。気がつくと三島特有の厳格かつ断定的な口調が自分にも伝染しかけており、このままだと日常生活に支障をきたすことになりかねない。無事この特集も録り終えたことですし、暫く三島とはおサラバするのが良さそうです。他の本読むぞ〜!
SpotifyやApple Musicの一年のまとめが出揃い、人々のメチャクチャな聴取傾向を見ていると、まさに「ドパガキ」そのもの。サブスクリプションの登場によって様々なジャンルを過剰に横断する消費行動が容易となった今、私たちは「あるのがいけない!あるのがいけない!」と叫びながら、空腹を満たすために狂ったようにコンテンツを貪り続けるのです。果たしてそこに目的意識はあるのか。ロマンはあるのか。美意識はあるのか。理想的なカルチャー活動とは、ただ闇雲にカルチャー物欲を満たすものではなく、新鮮な判断材料の調達や思考の整理、あるいは価値観を彫琢するために行われるべきもの(べきとまでは言わずともその方が有意義とは思う)であって、手っ取り早く階段を一段二段飛ばすことが真に致命的だということは、たとえ大学まで行かずとも、おおよそ義務教育くらいでとっくに教わることでしょう。自分は現在、ほとんどまったくドーパミンの出ない作業に日々のおよそ8割の時間を費やしているわけですが、その8割の時間で慎ましく、「雨ニモマケズ」のごとく鍛錬を積んでいると、残り2割のドーパミンの発生時に極めて実感を持って快楽を得ることができることに気づきました。磨いて磨いて鍛えて鍛えて耐え凌ぎ、我慢して我慢して…そして蓄積したパワーをようやく解放する瞬間に獲得できるドーパミン。それこそが本当で、それ以外は嘘です。なんてことは言いませんが、三島について考えるようになってからの自分は、以前と比べてどこか変わってしまったようです。この回を聴いたみなさんにも同じような体験が降りかかることを密かに願います。