
荘子に、以下の言葉がある。
真人の息は踵(くびす)を以てし衆人の息は喉(のど)を以てす
踵はカカトのこと。普通の人は喉のあたりで浅い呼吸をするが、すぐれた人はカカトまで吸うように深い呼吸をするという意味だ。気功には「足裏から息を吸い上げる」呼吸法もある。
トランペット奏者のメイナード・ファーガソンは、講習会で「太ももまで息を吸いなさい」と言った。背骨から両脚を吊るような構造の大腰筋は、大腿骨上部に付着している。そのため息を深く吸ったときに、太ももの付け根あたりに刺激を感じる場合があるのだ。
腹式呼吸が推奨される大きな理由のひとつは、深く息を吸うことである。ファーガソンは腹を越えて太ももまで息を吸い、荘子にいたっては踵まで動員する。身体性を極めてたどり着いた境地、それが脚式(きゃくしき)呼吸であり踵式(しょうしき)呼吸だろう。
本書で取り組むのは、胴体「底」の筋肉群を操作する、いわば底式(ていしき)呼吸だ。これもまた、腹式を越えた深い呼吸を得るための技術である。脚式や踵式とは別系統のトレーニングだが、ヨーガ、座禅、気功にも見られる伝統的な身体操作だ。
底式呼吸の奥深さ、可能性の広がりなど、その魅力を存分に味わっていただきたい。
※今回はAIによる読み間違いがたいへん多いです。声楽をコエガク、荘子をショウフあるいはソウカ、身体の要(かなめ)をカラダノヨウ、脚式呼吸(きゃくしきこきゅう)をキッキャクシキコキュウ、踵式呼吸(しょうしきこきゅう)をケドシキコキュウ、底式呼吸(ていしきこきゅう)をドクシキコキュウやソコシキコキュウ、底腹連動(ていふくれんどう)をテイハラレンドウやソコハラレンドウ、2番をフタバン、底腹独立(ていふくどくりつ)をソコハラドクリツと誤読しているところがありますのでご注意ください。
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