
〇 #7 のテーマは、闇バイト/オンライン詐欺
2023年に日本中を騒がせた“ルフィ事件”。
SNS上で「高額バイト」として誘われ、知らないうちに特殊詐欺などの犯罪に加担してしまう――。
ニュースの裏側には、経済的困難や孤立、搾取が複雑に絡み合う構造がありました。
今回のエピソードでは、闇バイトやオンライン詐欺を“新しいかたちの人身取引”として国際的に注目されているテーマんいついて、加害と被害の境界をどう捉えるのか、社会の構造的な問題として考えます。
ナビゲーターの行政杏奈と清水友美が、現場での調査や取材をもとに、
「誰が加害者で、誰が被害者なのか?」という単純な線引きを超えて、
社会の奥に潜む関係性と構造を丁寧にひもときます。
本エピソードは二部構成のpart1。
次回では、加害者の中にある被害者性=二重の立場(デュアルアイデンティティ)について、さらに問いを深めていきます。
〇 コーナー「影とひかり」
はじめてのコーナー「影とひかり」は、ひとつのテーマにある“裏と表”、“葛藤”をあえて露わにしていく時間です。
#7に共通する問いは――
「加害者と被害者、その線を引いた瞬間、私たちは何を見落としているのか?」
司法制度の中では、加害者と被害者を明確に区分することが必要です。
けれど、その枠組みだけで出来事を理解しようとしたとき、見えなくなる現実もあります。
加害者の中にある被害者感。
そして、加害として処罰することが、果たして根本的な解決につながっているのか。
Toriiのこれまでの調査や活動から見えてきたのは、司法の介入によって一定の効果は生まれるものの、それだけでは人の背景や社会の構造にまで光を当てきれないということ。
「影」と「ひかり」を往復しながら、私たちはこの問いを手放さずに語り続けます。
〇 ルフィ事件の概要
2023年初頭、東京・狛江市で発生した事件で、90歳の女性が被害に遭った強盗致死事件です。
報道では「実行役」と「被害者」がはっきり区分けされ、加害者として逮捕された人物が注目されました。
ですが、調べていくと、事件は単純な犯罪ではなく、SNS経由で募集された“闇バイト”や、海外からの指示系統など複雑な構造が背景にありました。
特に注目すべきは、フィリピンなど東南アジアからの遠隔指示や、詐欺拠点での軟禁・強制労働の構造です。
これらは、従来の人身取引とは異なる“新形態”として、現在ホットな議論になっています。
〇 関連ニュース紹介
『Nikkei Asia』 “Myanmar strikes on scam centers dismissed as smoke screen”(2025年11月6日配信)
ミャンマー国内での詐欺拠点摘発に関する報道。
「詐欺センター」と呼ばれる施設では、若者が高額収入を約束されて誘われ、実際には監禁・暴力・脅迫を受けながらオンライン詐欺に従事させられていた実態が明らかになっています。
記事では、軍政下での政治的混乱を背景に、こうした搾取型のスキームが放置されてきた構造にも触れています。
https://asia.nikkei.com/spotlight/myanmar-crisis/myanmar-strikes-on-scam-centers-dismissed-as-smoke-screen