
ようこそ、耳で観る展覧会へ。今回はクロード・モネ《印象、日の出》。薄い靄に沈む港を、中判の油彩が淡い青灰で満たし、中央右に小さな橙の太陽が脈打ちます。導入ではサイズ・媒体・主調をコンパクトに、続いて手前の小舟から太陽、そして奥のクレーンへと視線を誘導。短い水平ストロークがつくる水面の肌理、水平線と斜めのベクトルが生む律動、補色対比が引き出す光の温度差を、具体的な言葉で描写します。さらに、当時の都市と産業の景色を背景に、「出来事」から「見え(光と空気)」へ重心を移したモネの選択を、押し付けない複数解釈で提示。最後は“想像の時間”として10秒の静けさを用意しました。出典・所蔵先・参考情報はショーノートと本編末尾で明示します。