
耳で観る展覧会へようこそ。ゴッホ《星月夜》は、渦を巻く空と眠る村、上昇する糸杉と尖塔が交差する、“夜の振動”の絵です。導入ではサイズ・媒体・主調を簡潔に、続いて視線を糸杉→渦→月→村へと誘導。細部では、コンマ形の厚いストロークが作る触覚的な光(質感)、大きな弧と小さな弧・直線の対比が生む拍(リズム)、青と黄の同時対比がつくる暗がりの明るさ(光)を言葉で描写します。実景の写生を越えて、色とストロークで「夜の光」を再定義した実験としても、内面の天気図としても読める複数解釈を提示。終盤は10秒の無音で、あなた自身の“最も明るい星”を思い浮かべる時間を用意します。
出典:フィンセント・ファン・ゴッホ《星月夜》1889/油彩・カンヴァス/約73.7×92.1cm/ニューヨーク近代美術館(MoMA)。