
🕊️ Coha選書 ˊˎ˗
現代社会を生きる私たちに深く問いかける1冊✨️ エーリッヒ・フロムの『よりよく生きるということ』を取り上げます。
「なんだか今の日本や、SNSの雰囲気に心がざわつく」
「表面的な言動に暴力的だったり差別的なマウンティングが見え隠れする」
「スピリチュアルや自己啓発の謳い文句に違和感を覚える」
...そんな「なにかが言葉どおりではない」と感じているあなたにこそ、聴いてほしいエピソードです。
14歳で世界大戦を、
18歳でドイツ革命を体験。
33歳にはナチスの台頭という激動の時代を、“ドイツ生まれのユダヤ人”という立場で生き、
なぜ人は暴力的なものや権威に惹かれ、自由から逃げだしてしまうのかを問い続けた思想家、エーリッヒ・フロム。
彼が看破したのは、「所有(To Have)」と「存在(To Be)」という対照的な2つの生き方でした。
41歳で『自由からの逃走』
56歳で『愛するということ』
76歳で『生きるということ』を書き上げたフロム。
彼が晩年に残した未発表原稿を、彼の死後にまとめられたものが今回ご紹介する『よりよく生きるということ』。
※当エピソード中で「日本の編集者がまとめたのか?」と話していますが、おそらくはフロムの高弟(フロムから管理をゆるされている)ライナー・フンク氏による編集、原著もあるということでした。誤情報を、たいへん失礼いたしました🙏💦💦
・・・
現代の資本主義社会が「幸福」と教えるのは欲しいものを手に入れ、願望を満たす「所有」の生き方。
しかしフロムは、これこそが「まやかし(トラップ)」であり、私たちを本質から遠ざけていることを述べています。
ちなみに、この「所有」は、物だけでなく対象に人まで含まれます。
「思いやり」や「責任」といった言葉の裏で、他者をコントロールしようとする心理(執着)が起こり得るとフロムは指摘します。
どういうこと!? という方は、ぜひ聞いてみてくださいね☺️✨️
・・・
一方で「存在」とは?
(わたしが例えるなら、ちいさなドングリが大きなシイノキになろうと機能するような)フロムは自らの潜在的可能性を最大限に実現し続ける生き方だと言います。
一見、とても満たされ「幸福」を得るルートだと思われるような「所有」ですが、行きつく先には、生命的な危機・破滅が待つことも明示されます。
...だというのに、なぜ私たちは、本来ある「存在」の生き方ではなく、
この「所有」の罠に陥ってしまうのでしょうか?
フロムは、その背景に潜む現代社会の「まやかし」のメカニズムを本書で暴き出します。
■「解放」という名の不自由:プレッシャーから解放されたはずが、聞こえのいい言葉の裏で気づかぬうちに新たな支配や不自由が忍び寄るパラドックス。
■スピリチュアル・自己啓発業界の欺瞞:「深い変化」を謳いながら、実際には一時的な症状改善や、そのサービスへの依存を生む「大いなるまやかし」が横行。
■「努力なし、苦痛なし」:「たやすく、ほんのちょっとのステップで」人生が好転するという安易な解決策を求める心が成長を阻害するメカニズム。
■「取るに足らないおしゃべり」の孤独:誰もが孤独を抱え「自分のことを聞いてほしい」「けれど繋がれない」という葛藤から、表面的な関係性で繋がろうとしている。
■「反権威主義」の危険性:権威や支配を全否定する姿勢が、皮肉にも、新たな見えにくい形の支配を生み出す可能性。
■人ですら「商品」にする社会:現代社会において、誰もが自身の価値を市場で測り、いかに最大の利益を獲得するかという資本の考え方で生きている。
このエピソードが、あなたが日常で感じる「なんかおかしい」「これって本当にそう?」という疑問に光を当て、本質的な洞察を与えてくれることを祈っています。
・・・
今回は前編として、「所有」と「存在」の概念、そして社会に潜む「まやかし」について解説しました。
次回の後編では、では具体的にどうすれば「存在」の生き方へ向かえるのか、フロムの提案を深掘りしていきます。
・・・
【わたしから小さく始める世界平和 - naha 🕊️🌏️】
#読書 #読書感想 #エーリッヒフロム #フロム #愛するということ #よりよく生きるということ #生きる目的 #幸福 #本が好き #ありがとうございます