
愛妻家の一例
著者:岸田 國士 読み手:二宮 正博 時間:15分23秒
ルナアルの日記を読んで、いろいろ面白い発見をするのだが、彼は自分の少年時代を、「にんじん」で過したゞけあつて、大人になつてからも、常に周囲を「にんじん」の眼で眺め暮した世にも不幸な人間なのである。一度は友達になるが、その友達は、大概いつかは彼のひねくれ根性に辟易し、彼の方でも、その友達のどこかに愛想をつかして、どちらからともなく離れて行つてしまふ。
作家として、痛ましいほどの良心をもち、真実を追求する態度の厳粛さは、凡そ悪魔に憑かれてゐるとでも云ひたいくらゐだのに、人を愛し、人から愛される何ものかを欠いてゐる不思議な性格が、針のやうに彼を見る心を刺すのである。
さういふ彼が、この世で唯一人、無条件に愛し得たのは、平凡なやうだが、その妻のマリイであつた・・・
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