
今回のエピソードでは、診療現場で起こりがちな「事務的なエラー」に焦点を当てた最新の研究を紹介します。「処方を間違えた」「予約を入れるのを忘れた」「診察室の声が漏れていた」……これらは身体的な害がない場合でも、患者さんの心にどのような影を落とすのでしょうか?日本のプライマリ・ケアセッティングで行われた興味深い調査結果をもとに、医師への「信頼」がどのように揺らぐのか、そして私たち医療者が明日から気をつけるべきポイントについて深掘りしていきます。
■要点本研究は、日本の非感染性疾患患者661名を対象に、3つの事務的エラー(処方ミス、守秘義務違反、予約忘れ)が医師への信頼にどう影響するかを調査した横断研究です。
解析の結果、これら全てのエラーは主治医への対人的信頼を有意に低下させることが示されました。特に「守秘義務違反」と「予約忘れ」は、対人的信頼に対して最も大きな負の影響を与えていました。
一方で「処方ミス」は、主治医への信頼だけでなく、医師全体に対する「一般的信頼」も有意に低下させることが明らかになりました。この一般的信頼の低下は、主治医への信頼低下によって部分的に媒介されることも示唆されています。
Aita T, Miyawaki Y, Katayama Y, Sakurai K, Oguro N, Wakita T, et al. The Effect of Three Key Administrative Errors on Patient Trust in Physicians: Prescription Errors, Confidentiality Breaches, and Appointment Scheduling Omissions. J Gen Fam Med. 2025;0:1-8. doi: 10.1002/jgf2.70086.
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