
今回のエピソードでは、日本の公立病院の「赤字」と「地域性」の関係に迫る最新の研究をご紹介します。「へき地の病院は経営が苦しい」というのは通説ですが、果たしてそれは地理的な条件だけが理由なのでしょうか?2025年に発表されたデータを紐解きながら、病院の規模や病床稼働率が経営に与える本当の影響について、医師の視点で楽しくディスカッションしていきます。現場の実感とデータの乖離、そしてこれからの地域医療のあり方について一緒に考えてみましょう。
【論文の要点】本研究は、2022年度の日本の公立病院643施設を対象に、客観的なへき地指標(RIJ)と財務赤字の関連を調査した横断研究です。
単変量解析ではへき地度が高いほど経常赤字のリスクが高い傾向がみられましたが、病床数と病床稼働率を調整した多変量解析では、へき地度と赤字の間に有意な関連は認められませんでした。
一方で、300床以上の規模や高い病床稼働率は、経常赤字のリスク低下と有意に関連していました。この結果は、公立病院の財務持続可能性において、地理的な条件よりも、病院の規模や運営効率といった構造的な要因が強く影響していることを示唆しています。
Sakaguchi K, Abe T, Erabi A, Iseki T, Kaneko M, Shiraishi Y, Watari T. Association Between Rurality and Financial Performance of Public Hospitals in Japan: A Nationwide Cross-Sectional Study. J Gen Fam Med. 2025. doi: 10.1002/jgf2.70088.
#地域医療 #プライマリ・ケア #いなか医師の勉強ノート #病院経営 #公立病院 #医療政策