アニメーター、イラストレーター等さまざまな顔を持つ特異な漫画家・林静一について、川勝徳重・亜蘭トーチカによる充実のロングインタビュー/作品集『林静一漫画術』(セミ書房)をテキストに語り合います。
▼目次
川勝徳重新作『湯布院奇行』/川勝徳重・亜蘭トーチカ新刊『林静一漫画術』/北冬書房刊『花ちる町』/編集者・高野慎三/70年代の「ガロ」/『ヒッチコック映画術』に始まる「○○術」本の系譜/作家から作家へのインタビュー/レイアウトの問題/「語り方」が分からないと書けない/文章はIndesignで書く/インタビュー文字起こし構成の難しさ/時系列と脱線のバランス/つげ義春の沈黙と林静一の饒舌/アニメーターとしての出自/林静一概論/「ブームになっちゃってさ」/戦争の影が色濃い作品/物語を語る必然性の消滅/読者は意外と物語を読んでいない/断片的な語り口/視覚で考える/顔の角度/アニメーション的技法/コラージュのセンス/引用のルーツ/ゴダールと林静一の同時代性/「ガロ」後の林静一の位置付け/同じ年に生まれた林静一とわたせせいぞう/1973年という分水嶺/わたせせいぞうの異様な漫画『菜』/サブカルチャーの作家たちと受容者の年齢層のズレ/高野文子の作家性/「pH4.5 グッピーは死なない」の前衛性/CGの先駆者としての林静一/テクノロジーと創作の倫理/鍵盤というインターフェース/根本はアニメーター/現代漫画とテクノロジー/漫画表現におけるアウラ/最前衛作家・林静一/〝情念〟が足りない!!/本を作るのは本当に大変/矢部太郎さんのお父さんの絵日記本『光子ノート』(たろう社)/「時間がかかる」ことが大事
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制作:石原書房
第七回は「クラシック音楽」再入門。
奇しくも川勝徳重最愛の作曲家・ショスタコーヴィチの誕生日に収録となった今回。
制作の石原書房も加わって、とっつきづらい(と思われている)「クラシック音楽」の強烈な魅力を語り、その深淵へといざないます。
▼目次
川勝徳重最愛の作曲家・ショスタコーヴィチ(1906-1975)/畢生の作品・交響曲第15番/ソロモン・ヴォルコフ『ショスタコーヴィチの証言』/日本人のショスタコ(ソ連)びいき/クラシックにハマったきっかけ/レナード・バーンスタインのスター性/名曲!モーリス・ラヴェルのピアノ協奏曲/指揮者と演奏家が分かれたのはなぜ?/社会的状況とヴィルトゥオーゾ(名人)/フルトヴェングラーの交響曲/作曲家の指揮者はテンポが揺れる/「クラシックを聴くと頭がよくなる」/大巨匠ブルーノ・ワルターの「運命」/ソナタ形式とのファースト・コンタクト/子供の和声感覚/クラシック音楽とポップスの違いは情動の振り幅/「教養としてのクラシック音楽」という受容/名画「オーケストラ!」(2009)/自分のクラシックのツボを知りたい/ラヴェルのデモーニッシュさを引き出したヴィクトル・デ・サバタの名演/ラヴェルの演奏は本当に大変/音楽における「印象派」とは?/ワールドミュージックのハブでもあったパリ万博/異色の作曲家・ベルリオーズ/マーラーの先祖としてのベルリオーズ/ロック好きならベルリオーズとマーラー/ロマン派は「どれだけ壊れることができるか」の世界/鬼門としてのモーツァルト/とにかく苦悩が好き/ドイツのナショナル・アイデンティティになったベートーヴェンの苦悩/ゴダールとクラシック音楽/室内楽的美学と密室録音芸術としてのポップス/作曲家の実験場としての小編成楽曲/ソロから千人規模の編成まであるのがクラシックの面白さ/20世紀以降の音楽/ケン・ラッセルの評伝映画/「交響詩」とは何か/ブラームスよりシューマンの方がモダンに感じる/ワーグナーのカタストロフィ/石原書房最愛の作曲家・伊福部昭/大傑作・ピアノと管絃楽のためのリトミカ・オスティナータ/西洋文明の精華と汎アジア的なリズムと熱狂の融合/伊福部昭と早坂文雄の「新音楽連盟」/現代音楽の二つの源流/日本の作曲家たちの驚異的な吸収力/情動と自己破壊のダイナミズム/イデオロギーとコンセプトのぶつけ合い/サブカルチャーを含めた社会状況への批評性を感じる作曲家・梅本佑利/東西冷戦がないとアガらない/アンビエント、イージーリスニングとしての受容/カラヤンのポートレートがドカンのジャケット/ベン・ノブトの「Hallelujah Sim.」/「クラシック音楽」という概念を規定する外在的なもの/クラシック音楽の生演奏だけにある、「永遠」に触れてしまうような音楽体験/「逆ビルドゥングスロマン」としてのクラシック音楽/「私たちは世界を変えられる」と人間が本気で信じていた時代の産物/ロマン派か国民楽派が入り口として最適/「構えて聴く」のが正解/「好きな作曲家」「好きな曲」「好きな演奏家」をどれか一つ見つけて掘り下げる/楽譜が読める人は、スコア(総譜)を見ながらオーケストラを聴いてみてください
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制作:石原書房
第六回は「愛しの昭和30年代日本映画」。
文化史のエアポケットとしての昭和30年代から、二人の偏愛する日本映画を三本ずつ選出。各作品・作家・俳優たちの魅力を縦横無尽に語り合います。
【川勝徳重の三本】
内田吐夢『血槍富士』
蔵原惟繕『憎いあンちくしょう』
勅使河原宏『白い朝』
【柴崎祐二の三本】
増村保造『美貌に罪あり』
中平康『あした晴れるか』
山下耕作『関の彌太ッペ』
【目次】
なぜ今「昭和30年代映画」なのか/日本映画第二の黄金期/川勝徳重一本目『血槍富士』(内田吐夢、1955年)/満州の内田吐夢/実存の危機を抱えた殿様/片岡千恵蔵の大立ち回り/ネタバレを聞いて面白くなくなるような映画は見なくていい/堂々たる書割の富士/教条主義的な感じがしない/柴崎一本目『美貌に罪あり』(増村保造、1959年)/戦後モダニスト・増村保造/名優揃いのキャスティング/新しい女性像/野添ひとみだけで一億点/増村はお金と経済の話をするので苦しい/盆踊りのシーンの美しさ/日舞の文化的立ち位置/謎のノビリティ/ミュージカル映画との親和性/柴崎二本目『あした晴れるか』(中平康、1960年)/これぞ日活プログラムピクチャー/中平康のリズム/ベタすぎる「メガネとると美人」描写/中平康は最初から良い/GEOには裕次郎の映画が置いてあった/日活映画に記録された昭和日本の風景/清順だけが意味不明な映画を撮っていたわけじゃない/ヌーベル・ヴァーグと大衆文化の狭間で/裕次郎の歌は歌いやすい/川勝二本目『憎いあンちくしょう』(蔵原惟繕、1962年)/謎のジープ逃避行/ジャガーで追跡する浅丘ルリ子/画面が全部かっこいい!/裕次郎の泥臭さ・未熟成/人生で一度も聞いたことないような台詞のベストアルバム/シティポップの元祖的なセンス/傑作では明らかにないが、絶対に肯定したい/人力合成に固有のポエジー/フィクションがあまりにも自分の実存と共振してしまった時、イデアルなはずのものが〝現実〟になる/「群衆の中でもみくちゃになる」という類型/極めていびつだが、全部わかる/川勝徳重が創作に求める全てがここにある/柴崎三本目『関の彌太ッペ』(山下耕作、1963年)/「ほうれんそう」って大事だな/「一宿一飯の恩」って毎回言ってませんか?/画面の質が明るすぎる/端々に滲み出る端正さ/時代劇はなぜか見ていて疲れない/若い時にU-NEXTがあったら〝終わって〟いた/思い出せるのは名作ばかり/川勝三本目『白い朝』(1965年、勅使河原宏)/武満徹の音楽の素晴らしさ/段差を感じる映像と音のモンタージュ/ヌーベル・ヴァーグに最接近した日本映画/文脈を破壊する坂本九/たわいないものが崇高なものになる/ワン・ビン映画との親和性/入江美樹の跳躍と永遠/ロングショットの力/川勝作品と『白い朝』/できたての首都高/流れる風景に重なる原体験/高速移動の美学
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第五回は二人の通った古本屋について。
現状に納得しない人間を惹きつけ、「異端の知」のあり方へ人をいざなう古書店空間についての随談です。
【目次】
今はなき八勝堂/幻の古本路上販売/自転車に乗って新古書店巡り/熊谷の書店風景/小山力也『古本屋ツアー・イン・首都圏沿線』/そもそもなぜ古本屋にハマっていったのか?/頭の中に地図ができてくる/欲しい本があるかどうかは入った瞬間にわかる/古本屋のパターン/「掘り出されたもの」じゃなくて「掘り出し物」を求めている/澁澤・荒俣・種村/積ん読反対派/「異端の知」への憧れ/「安いから」を基準にするのをやめた/古本屋には「時間の幅」がある/古いということの価値/これを「面白い」と思える自分になりたかった/ブックオフの函モノ文学全集/何にも知らないから全てが宝物に見えた/ブックオフ戸山口店/大山の名店・ぶっくめいと/森鷗外『渋江抽斎』の世界/森銑三の考証精神/人生で読める本の冊数/趣味人としての残り時間の自覚/タイパとコスパを意識するなら文学全集/「このジャンルならなんでも読む」は二、三個が限界/文庫が並んでいることのロマン/「全てへの意志」が感じられるものが好き/ネット空間の古本屋・オークションサイトの恩恵/まんだらけとの出会い/夏目房之介ゼミでの修行/初めて「大人」たちと会った頃/池辺晋一郎先生のおしえ/本を読むためには頭が良すぎてはいけない/めんどくさくて面白い人と出会えること/各地の古書市/池袋の名店・往来座/郊外の絶妙な古本屋/古本は一言で言うとロマン/見えないものを見ようとする/今の社会において企画が通らなそうな本が面白い/現状に不満がある人は古本屋にGO/イデオロギー関係なく畸人が集まる空間/キレているから古本屋に行っていた
参考・引用文献:小山力也『古本屋ツアー・イン・首都圏沿線』(本の雑誌社)P.204-205
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第四回は「わたくしの好きなジャズ」。
二人のフェイヴァリットを5曲ずつ持ち寄って、ジャズとの馴れ初めやリスナー遍歴、名手たちへのほとばしる愛を語り合います。
●柴崎祐二の5曲
・デイブ・ブルーベック「Audrey」
https://www.youtube.com/watch?v=lGGucwpHdK4
・ジェリー・マリガン「Night Lights」
https://www.youtube.com/watch?v=Wf02V8AtMag
・スタンリー・タレンタイン「I Want A Little Girl」
https://www.youtube.com/watch?v=uaL-vjOBGqk
・チャールズ・ブラウン「Black Night」
https://www.youtube.com/watch?v=-iwKH86SwdM
・ビックス・バイダーベック「 I'm Coming Virginia 」
https://www.youtube.com/watch?v=oW7YYt0F-K4
●川勝徳重の5曲
・アニタ・オデイ「 Sweet Georgia Brown & Tea for Two」
https://youtu.be/9mu7zF7RcuE?si=NaslGIyvW2ugyHYI
・ファッツ・ウォーラー「The Ladies Who Sing With The Band」
https://youtu.be/e89CMAO_oBw?si=9QIBSO0mzHPuoJ_8
・ミルト・バックナー「Oldman river」
https://youtu.be/-iVkFL8smRI?si=JiJh2A3ZHgD_87kn
・セロニアス・モンク「Remenber」
https://www.youtube.com/watch?v=1_AI11u2pWU
・アル・ケイシー「Just You, Just Me」
https://youtu.be/DESqhRecw5o?si=sjn_8yJhcN4KQxbr
●Playlist
https://open.spotify.com/playlist/755KPITth0vHd7BqINRvqr?si=St6H6rohSO65F5pNo7Am9Q
【目次】
川勝徳重新作『異物』/平成オタク文化史の記録/ジャズとの出会い/川勝・父の音楽活動/柴崎・父のジャズ遍歴/メセナとしてのジャズマン招聘/ジャズと地域文化/自分で聴くようになってから/アート・ペッパー『サーフライド』『ミーツ・ザ・リズム・セッション』/「ブルー・イン・グリーン」の衝撃/「ブルーノートの1500番台」とは/リスナーカルチャーとしてのモッズ文化/二人のフェイバリット5選/風俗史としての『真夏の夜のジャズ』/アニタ・オデイのリズム感/サッチモのショーマンシップ/映画に出がちなサッチモ/エリック・ホブズボーム『ジャズシーン』/デイブ・ブルーベック「オードリー」/ダリウス・ミヨーの弟子/何かを希求するフレージング/天才作曲家ファッツ・ウォーラー/ジャズの時代精神/ファッツの音楽の親密さ/アート・テイタムの超絶技巧/西海岸ジャズの理知性/アンビエント・ジャズの元祖『ナイトライツ』(ジェニー・マリガン)/ジャズとR&Bの境目にいる人/校内放送のチャールズ・ブラウン/クールジャズの源流、ビックス・バイダーベック/イントロの15秒を聴くだけで世界の秘密が分かるモンク/系譜化されなかったスタイル/モンクは選曲がいい/アル・ケイシーのスウィング・ギター/ブルースとジャズの間に立つ人、ジェイ・マクシャン/アゼルバイジャンのピアニスト、ヴァギフ・ムスタファ・ザデ/1971年はショスタコーヴィチが最後の交響曲を書いた年/ジャズシーンの断絶/半分しか入ってないか、半分も入っているか/「原理主義的な態度もありということにして頂けないでしょうか?」/イデア側の人たちの立場の弱さ/常に揺れていること/一番聞き返したアルバム/夜のムード/一回性の音楽/録音のフィクショナリティ/ジャズの「音色」を求めている/サウンドテクスチャーを味わう聴き方/次回テーマ「古本屋の思い出」
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評論家/音楽ディレクターの柴崎祐二と漫画家の川勝徳重が、最新流行現象から遠く離れ、音楽、漫画、映画等いにしえのカルチャーについてあれこれお喋りする「あなくろ」ポッドキャスト。反時代的態度こそが前衛となるこの奇妙な時代に贈る、刺激的(教養?)エンタテインメント。
第三回は「好きな評論家」について。二人の表現の原点にある評論家とその作品との出会い、そしてそこから何を汲み上げ自らの制作に落とし込んできたかが語られます。
随談は二人の問題意識と創作態度を浮き彫りにし、やがて究極の作家倫理の問題へ……。
【目次】
美術評論が出発点/評論と対象のずれ/ディスクガイドがわりの評論/『意味という病』(柄谷行人)との出会い/「自分が知らないことをたくさん知ってる変なおじさん」が大好き/中村とうようの濁流のような知識量/評論家・柴崎祐二の誕生/野田努の凄みと影響/松岡正剛の比喩/クラシック音楽を聴くと、西洋思想の潮流が分かる/ポップミュージック批評の宿命/見田宗介の剛腕/四方田犬彦による小熊英二批判/同時代の文化に励まされた経験がない/『ハイスクール1968』と空音央『HAPPYEND』/四方田犬彦との遭遇/「日本人が西洋の音楽をやる」ということ/ナショナリスティックな動機で漫画へ/日本人としてアジアとどう向き合うか/汎アジア主義の残滓/折りたたまれたオリエンタリズム/「ひたすら降り続ける」こと/川勝徳重のラディカリズム/「ワールドミュージック」の来歴と変遷/「周縁」が消えてゆく時代/権威になったポップスとロック/個別具体からの発想と制作/興味のある時代の空気にダイブする/実作者の責任の取り方/コスパとタイパを馬鹿にするなかれ/いつだってアーリーアダプターだった/紹介者としての評論の重要性/「代わりに読む」ということ/90年代の夏目房之介と『つげ義春漫画術』/文章家としての上野千鶴子と柄谷行人/トム・ウルフ『そしてみんな軽くなった』/良い読者になりたかった/「スタイルがある」ということ/幸田露伴のですます体/音読しながら推敲する/書いてきたものの方が本当の自分/究極の作家倫理/次回テーマ「好きなジャズ」
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評論家/音楽ディレクターの柴崎祐二と漫画家の川勝徳重が、最新流行現象から遠く離れ、音楽、漫画、映画等いにしえのカルチャーについてあれこれお喋りする「あなくろ」ポッドキャスト。反時代的態度こそが前衛となるこの奇妙な時代に贈る、刺激的(教養?)エンタテインメント。
第二回は戦後の漫画復刻本の系譜に始まり、様々なジャンルでカルチャーの前進を駆動してきた「リバイバル」の力学と様相をめぐる随談。
【目次】
初回配信後の反響/日本漫画における復刻本の系譜/マニアたちによるリバイバルの動き/勝川克志と「跋折羅(バサラ)」/「漫画読本」(文藝春秋)の時代/西岸良平と細野晴臣/手塚漫画の変容と劇画の興隆/リバイバルの揺籃としての古書文化/漫画誌のエリーティズム/文化エリートと大衆によるリバイバルのダイナミズム/リライトする手塚治虫/古川益三の貸本漫画蒐集/万国共通のマニア表象/川勝徳重はなぜ漫画家になってしまったか/「ガロ」との出会い/東真一郎(水木しげる)『地獄の水』の衝撃/始まりにリバイバルがあった/『現代マンガ選集 恐怖と奇想』(ちくま文庫)/中条省平先生の最終講義/「遅れてきた青年」たち/分水嶺としての59年/知られざる貸本漫画作家たちのリバイバル/描き継がれた「墓場鬼太郎」/「墓場鬼太郎」の起源/貸本漫画のシミュラークルとコンパイル/絵物語の面白さ/非・手塚としての水木しげるとその周辺の再評価/つげ義春に賭けた高野慎三/「史観」の形成とリバイバルの力学/『昭和ノスタルジー解体』(晶文社)/「キッチュ」のパースペクティブ/文化に脈々と引き継がれる大正ロマンティシズム/表層の操作で深層にアクセスする丸尾末広//「無抵抗都市」と戦後日本が抱えるトラウマ/大傑作『笑う吸血鬼』/『チェンソーマン』の問題意識/ある結節点・1973年/過去に惹かれることが異様に映る現状/「マンガ」と一口で言うけれど/描き下ろし単行本の消滅/作家たちの変容/山下達郎の自己矛盾/つげ義春の抜群のギャグセンス/リアリティレベルの操作によるインパクト/評論の強みは価値判断ができること/価値判断とリバイバル/好き嫌いを超えた言葉の積み重ね/「俺はこれだ」と決めたものについて書く/デービッド・マークス『STATUS AND CULTURE』(筑摩書房)/実存を賭けられるものと出会えること/高野慎三とアンドレ・バザン/「これが好きだから」は誰にでも通じる/迷ったら母ちゃんの言うことを聞く/雑食(オムニボア)的嗜好の風景/次回テーマ「好きな評論家」
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第一回目は、定期的にネット上で話題となる「はっぴいえんど史観」に関する議論を足がかりに、翻って、ではなぜいちロックバンドである彼らが、それほどまでに長く/繰り返し語られてき(てしまっ)たのかについて、様々な角度からトーク。「またはっぴいえんど?もういいよ……」そんな貴方こそ捧げたい、前後編2時間の濃密おしゃべり。オルタナティブな史観の可能性は、まずは「パラダイム」を知ることから立ち上がる!
【目次】
物語化される「論争」/歴史を見るときの三点法/コスモポリタニズムとグローカリズムの相克としての日本語ロック論争/内田裕也のジレンマ/海外の表現との緊張関係/参照元を明記する姿勢/旧制高校的教養主義の崩壊とポップな教養のあり方/多品目主義=ポストモダン的消費を背景とするスタイル/「これはメッセージじゃない」というメッセージ
/言葉の起爆剤としての風街/現代的ノスタルジアの系譜/「東京を回顧する」という伝統的形式/日本回帰の一例としてのアンノン族/ロックという眼鏡を通して日本を見る/大瀧詠一の分母分子論/自分への影響に自覚的な創作姿勢/人気がない系譜学/音楽評論における表現技術論/スタジオミュージシャンとは/古賀政男と服部良一/大瀧詠一自身の言説によって用意されたパラダイム/主流史観の相対化の実践『現代マンガ選集』(ちくま文庫)/史観の形成とメディアの関係/町屋良平さんの批評プロジェクト/オルタナティブな歴史を立ち上げやすい時代/次回テーマ「リバイバル」
評論家/音楽ディレクターの柴崎祐二と漫画家の川勝徳重が、最新流行現象から遠く離れ、音楽、漫画、映画等いにしえのカルチャーについてあれこれお喋りする「あなくろ」ポッドキャスト。反時代こそが前衛となるこの奇妙な時代に贈る、刺激的(教養?)エンタテインメント。
第一回目は、定期的にネット上で話題となる「はっぴいえんど史観」に関する議論を足がかりに、翻って、ではなぜいちロックバンドである彼らが、それほどまでに長く/繰り返し語られてき(てしまっ)たのかについて、様々な角度からトーク。
「またはっぴいえんど?もういいよ……」そんな貴方にこそ捧げたい、前後編2時間の濃密おしゃべり。オルタナティブな史観の可能性は、まずは「パラダイム」を知ることから立ち上がる!
【目次】
自己紹介/自分が生まれる前のものが好き/「ゼーロンの背中」の由来/最新のものから離れて歴史を見る/いくつかの原体験/通っていた中古レコード屋/作品の元ネタを隠さない/語り尽くされたはっぴいえんどを今語る理由/はっぴいえんどを知ったころ/「ガロ」の影響力/不可視化されたアングラ性/はっぴいえんどの楽曲の分からなさ/1968年との向き合い方/先輩問題/先達に対する劣等感からのスタート/カウンター的なものとジャンルが生まれる瞬間の混沌/漂白された「わけのわからなさ」/はっぴいえんどの歌唱法が当時いかに変だったかを想像する/松本隆の参照項/自然主義的なものからの逸脱/『風景』(山平和彦)の場合/細野晴臣の内なるアメリカ/はっぴいえんどの政治性/問題提起の射程の長さ/「はっぴいえんど史観」が糊塗する格差構造/欠落した地方サブカルチャー史
/時代の結節点に立つバンド
(後篇に続く)