
今回の観光交差点は、久しぶりにアメリカをテーマにした回。大谷翔平選手のワールドシリーズ出場をきっかけに盛り上がる冒頭トークから、話題は一転──「アメリカ観光はいまどうなっているのか?」というテーマへ。ニューヨーク・ポストの記事によると、ニューヨークを訪れる国外観光客は2025年までに約200万人減少し、その経済的損失はおよそ40億ドル。外国人観光客が全体の消費の半分を担っていたことを考えると、その影響は非常に大きいといいます。
要因のひとつが、トランプ政権下で強まった移民・ビザ政策。ビザインテグリティ料として250ドルを新設するなど、外国人の入国ハードルが上がったことで、中国、メキシコ、インドなどからの観光客が減少傾向にあります。加えて、為替やインフレの影響で「アメリカは高すぎる国」になっており、同じ1週間の旅でも数年前の3倍以上のコストがかかる計算に。アメリカ国内の旅行者も減少する一方で、富裕層向けのラグジュアリーホテルだけは予約が急増するなど、観光産業の格差構造が鮮明になっています。
番組ではこの現象を「観光のラグジュアリー化」と位置づけ、ハワイ州が先行して打ち出した“富裕層中心の観光政策”との連動も指摘。オーバーツーリズム対策の一環としては理解できる一方で、「分断を助長する観光」になっているのではないか──そんな問いが浮かび上がります。
終盤では入山章栄氏が提唱する「G(グローバル)とL(ローカル)の人材論」も話題に。グローバルで活躍する人々と、地元に根ざして生きる人々が二極化する時代において、どちらが本当の幸せなのか? すすむさんが語る“マイルドヤンキー幸福論”を通じて、見えてくるのは「知りすぎることで失われる幸せ」と「地元にとどまることで得られる穏やかな幸福」。観光を通じて見えてくる「豊かさと幸福の再定義」をめぐる回となりました。
番組内で取り扱ったニュース
Foreign tourism to NYC expected to see ‘devastating’ $4 B drop this year https://nypost.com/2025/07/25/us-news/foreign-tourism-to-nyc-expected-to-see-devastating-4b-drop-this-year-according-to-industry-experts/?utm_source=chatgpt.com・米ニューヨーク市では2025年、国外観光客数が200万人減、訪問支出が約40億ドルの損失と予測。・国際観光客は全訪問者の約20%ながら、支出では約50%を占めており、減少のインパクトは大きい。・原因として米国外からの受け入れ先としての魅力低下、為替・コスト上昇なども指摘されている。New $250 visa fee risks deepening US travel slump https://www.reuters.com/world/us/new-250-visa-fee-risks-deepening-us-travel-slump-2025-08-30/?utm_source=chatgpt.com・米国が「ビザ・インテグリティー料」250ドルを導入、ビザ免除対象外国からの入国者に追加負担。・2025年7月時点で米国への海外旅行者数が前年比−3.1%と低迷し、費用・手続きの障壁増が懸念。・特にメキシコ、アルゼンチン、ブラジル、インド、中国など非ビザ免除国が影響を受けやすく、観光産業全体の回復を阻む要因となる可能性。Most Americans are traveling less. But luxury hotel bookings are soaring.https://www.washingtonpost.com/business/2025/10/18/wealthy-travelers-fuel-growth/?utm_source=chatgpt.com・多くのアメリカ人旅行者は旅行を抑えているが、 富裕層のラグジュアリーホテル予約は急増している。・エコノミー/ミッドクラス宿泊施設は予約・収益ともに低迷しており、旅行支出の階層間格差が鮮明。・国際訪問者の減少(特にカナダから)も重なり、国内観光・宿泊産業構造の再編が進んでいる。
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