
在宅医療における夜間の呼吸困難コールは、最も緊張を強いられる場面の一つです。特に高齢者の誤嚥性肺炎による呼吸困難は、急速に状態が悪化する可能性があり、初期対応の適切さが予後を大きく左右します。在宅医療スタッフにとって、電話越しの情報だけで状況を判断し、在宅対応か入院か、あるいは救急搬送かを決断することは容易ではありません。
誤嚥性肺炎は75歳以上の高齢者の肺炎の約7割を占めるとされ、在宅療養中の高齢者では特に注意すべき病態です。夜間に発熱や咳嗽とともに呼吸困難が出現した場合、誤嚥性肺炎の急性増悪を第一に考える必要があります。しかし、心不全の増悪や気管支喘息発作、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪など、他の原因も鑑別しなければなりません。
本資料では、夜間コールを受けた際の初期対応の具体的手順、在宅で対応できる範囲と入院基準の見極め方、そして119番通報のタイミングについて、実践的な視点から解説します。適切なトリアージと初期対応を習得することで、患者さんの安全を守りながら、不要な救急搬送を減らし、本人や家族の希望に沿った医療を提供できるようになります。