
誤嚥性肺炎というと、食事場面でのムセや飲み込みの問題を想像される方が多いでしょう。しかし実際には、誤嚥リスクは日常生活のあらゆる場面に潜んでいます。トイレでの排泄介助、入浴時の洗身、ベッドから車椅子への移乗など、私たちが毎日当たり前のように行うADL介助の場面こそが、実は高リスクな状況なのです。
特に問題となるのは、これらの場面での「不顕性誤嚥(silent aspiration)」です。食事中のムセは目に見えて分かりますが、トイレで息んだ後や入浴中の疲労時に起こる唾液の誤嚥は、本人も介助者も気づきにくいのが特徴です。高齢者の口腔内には常に多くの細菌が存在しており、わずかな唾液の誤嚥でも繰り返されることで肺炎を引き起こします。
在宅医療の現場では、医療職だけでなく介護職やご家族が日常的にADL介助を行っています。だからこそ、すべての介助者が「このケアは誤嚥リスクを高めるかもしれない」という視点を持つことが、誤嚥性肺炎の予防において極めて重要になります。本資料では、日常的なADL介助における誤嚥リスクの見極め方と、安全な介助テクニックを具体的にお伝えします。