良秀の娘が助けたことにより、小猿の「良秀」は次第に邸に受け入れられ人々に親しまれるようになっていった。
その噂が大殿の元まで届き、彼女が特別な目をかけられるようになっていた、その頃。絵師の方の良秀は__。
原稿:芥川龍之介『地獄変』青空文庫
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その屏風を描いたのは、今も名を知るものがいるほど高名な絵師、良秀である。
男は優れた才能と醜い容姿で人々の噂によくあがる一方、その若い一人娘は器量も性格も清らかで、女房として邸の皆に愛されていた。
BGM:PeriTune
原稿:芥川龍之介『地獄変』青空文庫
ある家来が、かつて自らが仕えた大殿の華やかな時代を語り始める。
その心にふと浮かび上がったのは、今では家の宝となっている地獄変の屏風絵、そしてそれにまつわる恐ろしい事件のことだった。
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原稿:芥川龍之介『地獄変』青空文庫
メリーの出産が間近にひかえたある夜、わたしは自分が犬になる夢を見る。
犬としてメリーを守らなければと思ったその時、人間としての人生でこれまで向き合ってこなかった理不尽に立ち向かう勇気が湧いて来るのだった。
原稿:小山清『犬の生活』青空文庫
私の趣味だった吉祥寺にある井の頭公園の散歩は、メリーと暮らすようになり日課に変わった。見慣れた季節の変化も、メリーとともに歩くことで違って見える。この犬と初めて出会った日を思い返しながらベンチに座っていたその時、事件は起こった。原稿:小山清『犬の生活』青空文庫
重要な暗号を運ぶ任務を任された男は、船旅なかで不思議な魅力のある女性に出会う。
支えがなければ立っていられないほど衰弱した体に対して、見つめられたら離れられなくなりそうな生命力に満ちた目をもつ彼女を忘れられなくなった男は、彼女を探して夜の甲板を歩く。
心のどこかに、小さな違和感を感じながら。
原稿:大倉燁子『妖影』青空文庫
ケチだったはずが犬のためには財布のひもが緩み、大家との会話も増えて少しづつ社交的になっていく男。
自分の性質まで変えていく犬がそばにいれば、自分の知らなかった可能性が開花していくのではないか。彼はそんなことを空想するまでになった。
原稿:小山清『犬の生活』青空文庫
保険会社の役人フィンクは病気の弟の見舞いに向かう途中、深夜の駅にいた。
乗り継ぎのための待合室は真っ暗で、自分と同じように疲れ切った客でいっぱいだ。
狭いベンチの空席に腰を下ろし、周囲の物音や暗闇に心が不安定になり始めたその時、部屋の隅から女の声が聞こえてくるのだった。
原稿:リルケ『白』森鴎外訳 青空文庫
メリーの体調を確認するため、わたしははじめて動物病院というものに向かう。
怠惰な自分がこれほどまめまめしくメリーを気遣っていることに戸惑いながらも、出産までの対応を真剣に聞くのだった。
原稿:小山清『犬の生活』青空文庫
詩人、酒飲み(無銭飲食)、女癖が悪い。
完璧とは言い難い男、大谷に振り回されながらもなぜか憎み切れない人々が、不完全を受け入れて愛する物語。
原稿:太宰治『ヴィヨンの妻』青空文庫
大家の許しを得て、犬(メリー)と暮らし始めた私。
ただの犬でしかなかったはずのメリーに、少しずつ愛着が芽生え始めると、怠惰な私の生活にも変化が起きはじめるのだった。
原稿:小山清『犬の生活』青空文庫
公園のベンチで出会った犬が家まで付いてきたので、飼うことにした私。
大家の老婆に相談したところ快く承諾をもらうことができ一安心。ただ、その犬は秘密を抱えていた。
原稿:小山清『犬の生活』青空文庫
警察がアジトに詰めかけ、ついに追い詰められた黒トカゲはみずから毒をあおる。
駆け付けた明智の腕の中で、彼女は最後の思いを彼に伝えた__。
原稿:江戸川乱歩『黒蜥蜴』青空文庫
雨宮潤一に変装していた謎の男。
その正体に気づいた黒トカゲは、恐怖と期待を込めて問いかけた。
「あなたは松公やなんかじゃないでしょう?あなたは__。」
原稿:江戸川乱歩『黒蜥蜴』青空文庫
黒トカゲの目の前に戻ってきた雨宮潤一。しかし、その様子は不愛想で飄々としていて明らかにおかしい。
不審を抱きながらも早苗の行方を尋ねる彼女の問いに答えるため、「雨宮潤一」は人間檻へと向かうのだった。
原稿:江戸川乱歩『黒蜥蜴』青空文庫
若くして教授に昇格した12月の夜、仲間たちに祝われても「私」の心は重い。その席はもともと恩師、渋谷教授のものだったからだ。
寒空のなかで輝く星座を見上げながら、ロケットに乗り宇宙に飛び出して行方知れずになった教授との日々を思い出す。
原稿:海野十三『ある宇宙塵の秘密』青空文庫
何不自由ないイデンの園に生まれ、魂を与えられなかった、美しいリリス。
幸せも不幸もない世界で生きて消えていった彼女を思い、日々のつつましい生活を愛おしく振り返るエッセイ。
原稿:片山廣子『古い伝説』青空文庫
雨宮潤一は気を失った早苗を運んで大水槽への梯子をのぼる。そして女はついに水中に投げ込まれた。
水中の早苗を見て異様な興奮に震える黒トカゲ。
そばにあった新聞に気がつくと、そこには目を疑うような文字が並んでいた。
「明智名探偵の勝利__岩瀬早苗嬢無事に帰る_」
原稿:江戸川乱歩『黒蜥蜴』青空文庫
極楽と地獄が分かれている、ここではない場所のお話。
天上の蓮の池から地獄を眺めているお釈迦様は、血の池でおぼれ苦しむ犍陀多(カンダタ)の姿を見つける。
多くの罪によって地獄の責苦を受ける男をただ見ていたお釈迦様だったが、彼が唯一行った善行を思い出して、手を差し伸べることにした。
原稿:芥川龍之介『蜘蛛の糸』青空文庫
#23大水槽
黒トカゲの私設美術館の一番奥。そこには海藻以外何も入っていない大水槽があった。
照明に照らされた水を眺める早苗に黒蜥蜴はこの水槽の「使い方」を教えるのだった。
#24白い獣
自分の身にこれから何が待っているのか。その恐怖に気を失った早苗が次に目覚めると、そこは鉄棒で囲まれた檻の中だった。
その檻に彼女は見覚えがある。黒蜥蜴に同じく囚われている若い男が囚われていた場所だ。彼女にはそれを確認する勇気は無かった。
#25人形異変
一夜明けた早朝の黒トカゲのアジトでは、奇妙な事件が続けて起こっている。
黒トカゲの部下の一人である松公が行方不明に、そして美術館の展示品の「人形」たちが何者かによって服を着せられ宝石で飾り立てられていたのだ。
明智を海に沈めて敵がいなくなったはずの黒トカゲは不安にかられて、早苗たちの檻へと向かっていった。
原稿:江戸川乱歩『黒蜥蜴』青空文庫