CDC長官モナレス氏解任の深層:政治任用職vs専門職
なぜファウチ博士はクビにならず、CDCトップは即解任されるのか?
はじめに
2025年8月、ホワイトハウスがスーザン・モナレス氏を解任したというニュースが報じられた。彼女は、米国疾病予防管理センター(CDC)のトップとして上院の承認を得たばかりで、公聴会では「CDCへの信頼を回復することが最優先課題だ」と語ってた。
なぜ、CDC長官のような公衆衛生のトップはこれほど簡単に解任されるといった報道があるのか。一方で、同じく著名な公衆衛生の専門家であったアンソニー・ファウチ博士は、大統領と意見が対立しても、より強い地位を保っているように見えた。その答えは、多くの人が見過ごしている、彼らの役割と所属組織の構造的な違いにある。 CDC長官は「政治任用官(ポリティカル・アポインティー)」で、スーザン・モナレスの地位は大統領の指名と上院の承認に基づいている。
オバマケアと「ブロッコリー」の奇妙な関係:連邦議会の権限はどこまで及ぶのか?
「健康のために、毎日必ずブロッコリーを買いなさい。さもなければ罰金を科します」――。もし、あなたの国の政府がこのような法律を制定したとしたら、あなたはどう感じるだろうか。
以下は、「オバマケア三部作と州際通商条項について」の一部を抜粋して、読みやすく書き直した。AIによる読み間違い、またこの内容は第一次トランプ政権をめぐる議論であることに注意されたい。ここで議論されていた論点は、現在のトランプ関税と関連している。トランプ関税については「カバノーとドーナツの穴(トランプ関税)」や『行政機関の憲法学的統制』を参照のこと。関税(tariff)は、「税金(tax)」なのか?税金ならば、「代表なければ課税なし」、その権限は大統領ではなく議会にあることになる…。
トランスジェンダーの女子スポーツへの参加を禁止する州法に関する事案を最高裁が判断する。特にウェストバージニア州やアイダホ州で成立した法律は、公立学校におけるトランスジェンダーの生徒の参加を全面的に禁止している。これが合衆国憲法の平等保護条項および連邦法のTitle IX(公民権法第9編)に違反するかが主要な争点である。
この前提としては、「合衆国最高裁の裁判官の法解釈の手法」を参照のこと。ここでは、次の事案を問題にしていた。
1.男性を好きだという点で2人の従業員がいたとする。
2.その2人の一方は男性、もう一方は女性だとする。
3.雇用主は、その従業員が「男性を好きだ」という理由で解雇できるのか?その解雇はTitle 7違反(「差別」に該当する)ではないのか?
元FBI長官ジェームズ・コミー氏の偽証罪起訴:トランプ政権との対立。こちらは終わったのですが、復習用に。
かつてのFBI長官が、自らも仕えた政権下の司法省によって起訴されるという事態が生じた。ジェームズ・コミー元FBI長官がトランプ政権下で起訴されたというニュースは、多くの人々に衝撃を与えた。しかし、この事件は単なる一個人の犯罪にかかる物語ではない。その根底には、2016年の大統領選挙とその後に続く政治的混乱が複雑に絡み合っている。本記事では、この注目すべき起訴の背後に潜む、しばしば見過ごされがちな4つの重要なポイントを掘り下げ、事件の核心に迫ることとする。
街を歩いていると、有名ブランドのデザインを面白おかしくアレンジしたTシャツや雑貨を見かけることがある。「うまいこと考えるな」と思わず笑ってしまう一方で、「これは法的に問題はないのか」と疑問を抱くこともあるだろう。この素朴な疑問は、実はブランドの権利と表現の自由が衝突する極めてデリケートな問題の入口である。本記事では、世界的に知られるウイスキー「ジャックダニエル」と、そのボトルを模した「犬用オモチャ」をめぐって争われたアメリカ連邦最高裁判所の判決という意外な事例を手がかりに、パロディとブランド保護の境界線がどこにあるのかを解説する。
バイデン政権の学生ローンについての最高裁の判断を中心にして最高裁の主要な問題の法理の用い方を考える。バイデン政権が打ち出した大規模な学生ローン救済策は、多くの人々の注目を集めていたが、最終的には合衆国最高裁によって否定された。このニュースを受け、多くの人々は判決の理由を政治的対立や経済的影響に求めたかもしれない。しかし、この判決の背後には、一般にはあまり知られていないものの、極めて強力な法的原則が存在していたのである。もし、この判決の本当の理由が、単なる党派的争いにとどまらないとしたらどうだろうか。実際には、この判断の核心には「主要な問題の法理(Major Questions Doctrine)」と呼ばれる、アメリカの法解釈における重要な考え方が据えられていたのである。
本記事では、この「主要な問題の法理」とは何であるのか、そしてそれがなぜ学生ローン救済策を覆す決定的な要因となったのかを、専門的内容を踏まえつつ平易に解説する。この判決が示すより大きな意義についても検討していくこととする。
大統領のクビ切り権限と独立行政機関の憲法上のジレンマ
カバノーとドーナツの穴(トランプ関税)
合衆国最高裁の口頭審理では、各裁判官が自由に、当事者に対して質問を投げかける。ここではトランプ関税訴訟での一幕を取り上げる。
IEEPA(International Emergency Economic Powers Act, IEEPA)にもとづくトランプ政権の関税について、バレットからカバノーに移り次のように質問した。
政府の法律解釈によれば、大統領は世界中のあらゆる国との貿易を全て停止できるが1%の関税すら認められない。これは常識にかなっていないように思える。これは「ドーナツの穴だ」と。
※2025年に最高裁は判断を示しています。
辻 雄一郎「インターネットのプラットフォーム規制と言論の自由」法律論叢 98(1) 47-100頁( 2025)の一部をまとめたもの
Biden v. Nebraskaと最高裁の判断 主要な問題の法理を、どのように考えるか?
「インターネットのプラットフォーム規制と言論の自由」をまとめたもの。その2
インターネットプラットフォームの規制とアメリカ合衆国における言論の自由に関する複数の裁判例を検討する。特に、ソーシャルメディア事業者のコンテンツモデレーション(編集権)を制限しようとするフロリダ州法およびテキサス州法の合憲性が争われたMoody v. NetChoice判決(2024年)を中心に分析している。また、プラットフォームがテロ行為を幇助したとして訴えられたGonzalez v. Google LLCおよびTwitter v. Taamneh判決を素材に、テロリズム禁止法(ATA)に基づくプラットフォームの責任についても議論する。
さらに、未成年者によるポルノサイトへのアクセスを規制するテキサス州法の合憲性についても触れており、これらの議論全体を通じて、プラットフォームの編集権と、公私二分論の境界、そして新しいテクノロジーに憲法原則をどのように適用するかという複雑な法的問題を考察したもの。
トランプ関税の最高裁の口頭審理を経て(関税と最高裁(3)
以下は「司法審査の正統性と裁判官の法解釈-ローパー判決を素材にして」と 「主要な問題をめぐる合衆国最高裁の裁判官の解釈手法-学生ローンと沿岸漁業監視プログラムについて-」一部、抜粋して修正したもの。また、「関税と最高裁(2025/9/14)」また「関税と主要な問題の法理を考えるにあたって学生ローンについての最高裁の判断(関税と最高裁(2))」を参照のこと。
2025年11月に合衆国最高裁は、いわゆるトランプ関税について口頭弁論を実施した。その結末がどうなるかを占う手がかりがある。
「インターネットのプラットフォーム規制と言論の自由」をまとめたもの。その1
インターネットプラットフォームの規制とそれに関連する言論の自由の問題について、合衆国最高裁判所の判例を基に憲法学的な考察する。この論文は、TikTokの利用禁止法(TikTok v. Garland)やソーシャルメディア企業のコンテンツモデレーション規制(Moody v. NetChoice)などの最近の事例を取り上げ、これらのプラットフォームに対する規制の合憲性を検討している。特に、裁判所が印刷メディア、放送、通信といった従来のメディアの類型と、インターネットの類似性を見出しながら、厳格審査基準や中間審査基準といった違憲審査基準をどのように適用してきたかという歴史的な経緯を分析したもの。
アメリカでは誤解を招く、紛らわしい表現については、セントラルハドソンテストが1980年に示されて以降も、著作権法や商標法といった個別法と判例の蓄積が存在してきた。ここでは、商標の場合は営利的言論が主となるのではないか?営利的言論であれば、どういった違法性の判断基準を用いるかを問題にする。
Iancu v. Brunetti不道徳な商標はダメ?
商標は経済的価値だけでなく政治的なメッセージも保護しているのか?会話中で、「物議」を「ものぎ」と読んでしまっているみたいです。
商標に政治的なメッセージを込めた場合、商標法の蔑称となる商標を禁止する規定(Disparagement Clause)は、違憲だろうか?その時の合憲性判定基準は?いくつか漢字の読み方に誤りが含まれています。
営利的言論の憲法上の保障について