
バイデン政権の学生ローンについての最高裁の判断を中心にして最高裁の主要な問題の法理の用い方を考える。バイデン政権が打ち出した大規模な学生ローン救済策は、多くの人々の注目を集めていたが、最終的には合衆国最高裁によって否定された。このニュースを受け、多くの人々は判決の理由を政治的対立や経済的影響に求めたかもしれない。しかし、この判決の背後には、一般にはあまり知られていないものの、極めて強力な法的原則が存在していたのである。もし、この判決の本当の理由が、単なる党派的争いにとどまらないとしたらどうだろうか。実際には、この判断の核心には「主要な問題の法理(Major Questions Doctrine)」と呼ばれる、アメリカの法解釈における重要な考え方が据えられていたのである。
本記事では、この「主要な問題の法理」とは何であるのか、そしてそれがなぜ学生ローン救済策を覆す決定的な要因となったのかを、専門的内容を踏まえつつ平易に解説する。この判決が示すより大きな意義についても検討していくこととする。