・『特許判例百選(第5版)』掲載判例(事件:033)
・用途発明の効力
【概要】
本稿では、知的財産高等裁判所平成28年7月28日判決(平成28年(ネ)第10023号)、通称「メニエール病治療薬事件」について、その事案の概要、判決理由、そして知的財産法実務における意義を詳細に分析する。本判決は、医薬品分野における「用途発明」の特許権侵害判断、特に特許法第2条第3項に定める「実施」の解釈に関して重要な指針を示したものであり、その後の判例実務に大きな影響を与えている。
本件の争点は、数値限定を伴う医薬用途発明において、被告製品の用法用量が特許発明の技術的範囲に属するか、また被告の行為が特許法上の「実施」に該当するかという点にあった。控訴審判決が第一審とは異なる法的枠組みで判断を示した点に、本判決の最大の意義がある。
【概要】
本レポートは、知的財産高等裁判所が平成22年1月28日に下した「性的障害の治療におけるフリバンセリンの使用」事件(平成21年(行ケ)第10033号)の判決について、その概要と法的意義を詳細に分析することを目的としています 。
本判決は、医薬用途発明における特許法第36条第6項第1号(サポート要件)の解釈に関して重要な指針を示し、その後の特許実務に大きな影響を与えた画期的な判決として位置づけられています 。
・『特許判例百選(第5版)』掲載判例(事件:070)
・サポート要件
【概要】
本レポートは、知的財産高等裁判所(以下「知財高裁」)が平成17年11月11日に下した大合議判決(平成17年(行ケ)第10042号「偏光フィルムの製造法」事件、以下「本判決」または「偏光フィルム事件判決」)の概要と、その判決が日本の特許実務、特に「パラメータ特許」のサポート要件の解釈に与えた多大な意義について詳述することを目的とする。
本判決は、知財高裁における最初の「大合議事件」であり、従来その特許性判断が問題視されていた、いわゆるパラメータ特許の有効性に関する極めて重要な判例として位置づけられている 。特許制度の根幹である「発明の公開と独占的実施の保障」という趣旨を再確認し、明細書の記載要件、特にサポート要件の解釈に明確な指針を示した点で、その影響は今日に至るまで広範に及んでいる 。
本報告書は、東京地方裁判所が平成25年10月31日に下した「端面加工装置事件」判決(平成24年(ワ)3817号)の概要と、その知的財産法、特に特許請求の範囲の解釈における意義を詳細に分析することを目的とする 。
本判決は、特許権侵害訴訟において実務上極めて重要な二つの論点、すなわち機能的クレームの解釈および括弧内符号の限定的機能の有無について明確な判断を示したものである。
・『特許判例百選(第5版)』掲載判例(事件:017)
・侵害訴訟における無効主張と権利濫用
【概要】
キルビー事件に関する最高裁判所平成12年4月11日第三小法廷判決は、日本の知的財産法、特に特許訴訟実務において画期的な転換点となった重要な判例です。この判決は、特許権の侵害訴訟における特許の有効性判断のあり方を根本的に見直し、従来の運用に大きな変革をもたらしました。
キルビー判決は、特許侵害訴訟において、特許に無効理由が「明らか」に存在する場合に、裁判所がその特許権に基づく請求を権利濫用として排斥できるという新たな法理を確立しました 。
・『特許判例百選(第5版)』掲載判例(事件:023)
・侵害品のメンテナンス行為
本レポートは、特許権侵害行為としての「生産」(特許法2条3項1号)に、製品のメンテナンス行為が該当するか否かという法的論点に焦点を当て、詳細な分析を提供することを目的としています。特に、日本の知的財産高等裁判所が平成27年11月12日に判決を下した「生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置事件」を中心に、関連する判例法理を深く掘り下げ、実務上の示唆を導き出します。
直接侵害としての「生産」の解釈に加え、メンテナンス行為に関連する部品供給における間接侵害(特許法101条1号「のみ」要件)についても検討し、多角的な視点から特許権侵害のリスクを評価します。
・『商標判例百選』掲載判例(事件番号:040)・インターネットショッピングモール運営者の責任
知財高裁平成24年2月14日判決、通称「チュッパチャプス事件」(事件番号:平成22年(ネ)10076号)は、日本の知的財産法において画期的な事案として位置づけられています。
本件は、インターネットショッピングモール運営者である楽天株式会社の商標権侵害責任の有無が問われたものであり、最終的な結論としては第一審と同様に控訴棄却(侵害不成立)であったものの、その判断理由において、オンラインプラットフォーム運営者の責任に関する新たな判断基準を示した点で、実務に大きな影響を与えました 。
・『特許判例百選(第5版)』掲載判例(事件:007)
・作用効果不奏功の抗弁
【概要】本報告書は、大阪高等裁判所が平成14年11月22日に下した特許権侵害訴訟判決(平成13年(ネ)3840号)、通称「エアロゾル事件」の概要と判決の意義を詳細に分析するものです。本件は、特許発明の技術的範囲の充足性、特に「作用効果不奏功の抗弁」の適否が争点となった点で、知的財産法実務において重要な判例として位置づけられています 。
主要な争点は、被疑侵害製品が特許発明の構成要件を充足するか否か、そして控訴人が主張した「作用効果不奏功の抗弁」が一般論として認められるか否かでした 。この抗弁は、被疑侵害製品が特許発明の構成要件を形式的に満たしていても、明細書に記載された発明の作用効果を奏しない場合には、特許技術の範囲に含まれないと主張するものです 。
本レポートは、知的財産分野へのキャリアチェンジを検討しているものの、実務経験がない方々に対し、株式会社知財塾が提供する『知財塾』プログラムがどのようにその目標達成を支援し、さらに、転職サイト「知財お仕事ナビ」でどのような就職サポートを提供するのかを具体的に解説します。
本報告書は、日本の知的財産法において重要な先例となった最高裁判所平成11年7月16日第二小法廷判決、通称「生理活性物質測定法事件」(平成10年(オ)第604号:特許権侵害予防請求事件)の概要と、その法的意義を詳細に分析するものである。
本判決は、民集第53巻6号957頁に掲載されており、特許法における「方法の発明」と「物を生産する方法の発明」の区別、およびそれぞれの特許権の効力範囲について明確な指針を示した点で、日本の特許実務、特にバイオテクノロジー・医薬品分野における測定方法の発明の保護範囲に大きな影響を与えた 。
本報告書は、眼鏡チェーン業界の主要企業である株式会社ジンズホールディングス(以下、JINS)が、株式会社インターメスティック及び株式会社ゾフ(以下、Zoff社)に対して提起した意匠権侵害訴訟について、その詳細な内容、両社の主張、および東京地方裁判所による判決結果を包括的にまとめるものである。
この訴訟は、特にレンズ跳ね上げ式眼鏡に採用された「磁着式フリップアップ機構」という特定のデザインに関する意匠権侵害が争点となり、現代の消費財市場における知的財産権、とりわけ意匠権の保護がいかに重要であるかを改めて浮き彫りにする事例として、業界内外から大きな注目を集めた。
江崎グリコ株式会社が誇る人気チョコレート菓子「Pocky(ポッキー)」の形状が、2025年7月25日付で特許庁に「立体商標」として登録されたというニュースが発表されました 。これは、1966年の発売以来60年目を迎えるポッキーにとって新たな節目であり、日本の知的財産権、特に食品業界におけるブランド保護の観点から極めて重要な意味を持つ出来事です 。この登録は、文字やロゴがなくとも、その特徴的な形状を見ただけで「Pocky」と認識できることが認められたという点で、その意義は計り知れません 。
本レポートでは、このニュースの背景にある立体商標制度の基礎知識から、登録に至るまでの高いハードル、そして過去の先行事例との比較を通じて、今回のポッキーの登録が持つ戦略的意義とメリットを詳細に分析します。
・『特許判例百選(第5版)』掲載判例(事件:022)
・リサイクルと消尽
平成19年11月8日に最高裁判所第一小法廷によって言い渡された「インクタンク事件」判決(正式名称:平成18年(受)第826号特許権侵害差止請求事件)は 、特許権の消尽理論、特に特許製品のリサイクルや再製造の文脈におけるその適用範囲を明確化した画期的な判決として、日本の知的財産法において重要な位置を占めています。この判決は、特許権者が合法的に販売した製品について、その後の加工や部材の交換が「新たな製造」に該当するか否かという、リサイクル製品の法的評価に関する長年の論争に終止符を打つものでした 。
本件は、特許権者が一旦流通に置いた特許製品に対して、その後に第三者が施す加工や部材交換行為が、特許権の効力が及ばない「消尽」の範囲内にとどまるのか、あるいは特許権の効力が再び及ぶ「新たな製造」と評価されるのかという、現代社会におけるリサイクル活動と知的財産権保護のバランスに関する根本的な問いを提起しました。
最高裁判所は、この複雑な問題に対し、従来の類型的な判断枠組みを超え、多様な要素を総合的に考慮する新たな基準を提示しました 。この新たな基準は、特許制度が目指す発明の奨励と産業の発展という目的と、製品の再利用を通じた環境保護や市場競争の促進という社会的要請との間で、司法がいかに調和を図ろうとしたかを示すものです。
2025年5月29日、NYタイムズはAmazonと自社編集コンテンツをAmazonの人工知能(AI)商品向けに利用するのを認める契約を締結したと発表しました 。これはNYタイムズにとって初の生成AI関連ライセンス契約となります 。
この提携により、AmazonのAIモデルはNYタイムズのニュース報道だけでなく、傘下の料理ウェブサイトNYT CookingやスポーツメディアThe Athleticに関連するコンテンツも使用してトレーニングできるようになり、これにより生成型AIはより質の高いニュース素材を理解し活用できると期待されます 。
この提携の重要な点は、AmazonがNYTの著作権コンテンツを引用する際、関連する出典や参照リンクを添付するという合意が含まれていることです 。NYタイムズのCEOは、この協定が知的財産権の保護と執行を促進する重要な方法であり、自社コンテンツの新たな収益モデルを見出す試みであると強調しています 。
ドナルド・トランプ元大統領は、AIサミットの基調講演において、AI学習に利用される全てのコンテンツに対してマイクロライセンシング(著作物の契約・利用・支払いを極めて簡易に行える仕組み)や個別支払いを義務付けることは「不可能な仕事」であると明確に表明しました 。
彼は、「読んだり勉強したりした全ての記事や本、その他のものに対して料金を支払わなければならない状況では、成功したAIプログラムを期待することはできない」と述べ、利用する知識全てに支払いを要求することは、特に制限の少ない中国と比較して、米国のAI開発の競争力を損なうと主張しました 。ただし、記事の複製や剽窃はできないが、現在の解釈では書籍や記事から学ぶことは著作権法に違反しないと付け加えています 。
書籍『それってパクリじゃないですか?』は、群馬に拠点を置く中堅飲料メーカー「月夜野ドリンク」の知的財産部を舞台に、知的財産権の複雑さとその企業活動における重要性を描いた「お仕事小説」です 。
物語は、知的財産に関する知識が皆無な主人公・藤崎亜季が、厳格かつ的確な指導を行う上司・北脇雅美と共に、様々な知財トラブルに直面し、悪戦苦闘しながら成長していく過程を中心に展開されます 。
親友が手掛ける服飾ブランドの商標乗っ取り事件、パロディ商品の訴訟騒ぎ、さらには社運をかけた新製品の特許侵害といった具体的な案件を通じて、知的財産がビジネスに深く根ざしている実態が浮き彫りになります 。
本書は単なる娯楽作品に留まらず、特許という専門的なテーマを新鮮な切り口で提示し、ビジネスの合理性と人間的な感情が絡み合いながら問題解決へと向かう過程を楽しむことができます 。
・著作権判例百選(第6版)掲載
・引用(1) パロディ
【概要】
本レポートは、日本の著作権法における極めて重要な判例である最高裁判所昭和55年3月28日第三小法廷判決、通称「モンタージュ写真事件」上告審について、その概要と判決の意義を詳細に分析することを目的とする。
この判決は、著作物の「引用」の要件および著作者人格権、特に同一性保持権の解釈に大きな影響を与え、パロディ表現の自由との関係で今日まで継続的に議論の対象となっている。本報告では、この判決が日本の著作権法実務と学説に与えた影響を多角的に考察する。
・特許判例百選(第5版)掲載判例(事件:032)
・延長登録された特許権の効力
★コエチザラジオについて★
知財業界で働く元エンジニアが、AIを活用して、知財判例や知財ニュース解説等を行っています。毎朝7分の知財トークで、あなたの「知財脳」をアップデートさせる番組です。知財に関心のある方、ぜひフォローお願いします!
https://open.spotify.com/show/6azymFNEobFp629OHYxhKQ?si=d8124d18e6b14565
【概要】
本報告書は、知的財産高等裁判所が平成29年1月20日に下した、通称「オキサリプラティヌム事件」判決について、その概要、判決内容、そして実務および学術界に与えた多大な影響を詳細に分析するものである。
本判決は、知的財産高等裁判所の設立以来11件目となる大合議判決として位置づけられ、特に医薬品関連特許の「特許権存続期間延長登録」の効力範囲(特許法第68条の2)に関する、これまで最高裁判決でも未解決であった重要な法的問題に初めて具体的な判断を示した点で、極めて画期的な意義を持つ 。
この判決は、医薬品分野における特許権の保護と後発医薬品の市場参入のバランスに明確な指針を与え、今後の実務に大きな影響を与えることが予想される。
・特許判例百選(第5版)掲載判例(事件:031)
・延長登録の要件
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【概要】
最高裁平成27年11月17日第三小法廷判決(平成26年(行ヒ)第356号)は、通称「アバスチン事件」または「ベバシズマブ事件」として知られている 。本判決は、特許権の存続期間延長登録の要件、特に特許法第67条の3第1項第1号に定める「その特許発明の実施に政令で定める処分を受けることが必要であったとは認められないとき」の解釈に画期的な判断を示した。
本判決は、先行する承認(先行処分)が存在する場合に、新たな承認(出願理由処分)に基づく延長登録が認められるか否かという、長らく議論されてきた問題に対し、従来の特許庁の審査基準を明確に否定し、新たな判断基準を確立した点で極めて重要である 。これにより、医薬品の改良発明に対する特許保護の可能性が広がり、製薬業界の実務に大きな影響を与えた。
・特許判例百選(第5版)掲載判例(事件:061)
・新規性(選択発明)
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【概要】
本レポートでは、知的財産高等裁判所が平成29年6月14日に下した「重合性化合物含有液晶組成物及びそれを使用した液晶表示素子」事件(平成28年(行ケ)第10037号)の判決について、その概要と法的意義を詳細に解説する。本判決は、特許無効審決取消請求事件において、特許庁が新規性欠如を理由に無効とした審決に対し、知財高裁が審理不尽を理由にこれを取り消したものである 。
特に、複数の成分からなる組成物に関する「選択発明」の特許性判断において、引用発明と比較した相違点に係る複数の「選択」が組み合わされた際に奏される「組み合わせ効果」(synergistic effect)を総合的に評価することの重要性を明確に示した点で、実務上極めて重要な判決と位置づけられる 。この判決は、単に審決が取り消されたという結果に留まらず、特許庁の審査・審判実務における「選択発明」の評価方法に具体的な指針を与えるものである。