
1.論文のタイトルDevice associated complications in the intensive care unit
2.CitationBMJ 2024; 386: e077318
論文内容の要約
集中治療室(ICU)で日常的に使用される血管カテーテル、気道デバイス、体外式膜型人工肺(ECMO)などの侵襲的デバイスは、患者管理に不可欠である一方で、多くの合併症の原因となります。これらの合併症は患者の死亡率向上、入院期間の延長、医療コストの増大に直結するため、適切なリスク軽減戦略と発生時の管理が重要です。
血管カテーテル(中心静脈カテーテルや動脈カテーテル)における主な合併症には、挿入時の血管損傷、血腫、気胸、空気塞栓症のほか、挿入後の血栓症や感染症があります。これらのリスクを低減するためには、リアルタイムの超音波ガイド下での挿入、チェックリストの活用、および不要になった際の速やかな抜去が推奨されます。また、末梢血管からの昇圧剤投与の検討など、不必要なカテーテル挿入自体を避ける判断も求められます。
気道デバイス(気管挿管、気管切開)では、挿入時に心血管系の不安定化や深刻な低酸素血症、誤挿管などが発生するリスクがあります。ビデオ喉頭鏡の使用や熟練者による施行が、初回成功率を高め合併症を減らす有効な手段です。長期的には、カフ圧の過上昇などによる喉頭・気管の狭窄、気管軟化症、瘻孔形成、さらには発声困難といった後遺症が課題となります。
ECMOは、使用の急増に伴い合併症の報告も多く、出血や血栓症といった血液学的問題、脳梗塞や脳出血などの神経学的障害、装置の故障、感染症、下肢虚血など多岐にわたります。特に回路内の血栓形成やカニューレの不適切な配置は命に関わるため、高度な専門知識と事前の準備が不可欠です。
今後の課題として、身体拘束による損傷や精神的苦痛、医療従事者とのコミュニケーション不足、退院後も続く長期的な痛みや認知機能障害など、患者自身の視点に立ったアウトカムの把握と改善が強調されています。非侵襲的なモニタリング技術の開発や、VR・ARを用いたトレーニングも、これらの合併症を減らすための新たなアプローチとして期待されています。