
1.論文のタイトルResilience, Survival, and Functional Independence in Older Adults Facing Critical Illness
2.CitationCHEST. 2024; 166(6): 1431-1441.
論文内容の要約
集中治療室(ICU)を退院した高齢患者は、身体、精神、または認知機能に新たな障害が生じたり、既存の障害が悪化したりする「集中治療後症候群(PICS)」を経験することが多くあります。本研究は、米国の高齢者を対象とした全国的な縦断調査データを用い、65歳以上の高齢患者3,409名における、ICU入室前の心理的な「レジリエンス」(逆境に適応し、回復または成長する能力)が、退院後の生存率や機能的自立にどのような影響を与えるかを分析しました。
分析の結果、ICU入室前のレジリエンスが最も高いグループは、最も低いグループと比較して、退院後の死亡リスクが19%低いことが明らかになりました。また、レジリエンスが高い患者は、退院から5年後の時点においても、日常生活動作(ADL)や手段的日常生活動作(IADL)における機能的自立を維持している確率が有意に高いことも示されました。
一方で、ICU滞在中に生じる急激な機能低下の度合いや、ICU入室前後の機能低下の進行速度(推移の傾斜)については、レジリエンスの高さによる有意な差は認められませんでした。このことは、レジリエンスが高いグループの良好な予後が、ICU滞在中の悪影響を緩和した結果というよりも、主に入室前の時点ですでに高い自立水準を維持していたことに起因している可能性を示唆しています。
レジリエンスは介入によって修正や向上が可能な特性であると考えられており、高齢のICU生存者の生存率や身体機能を改善するための新たな治療ターゲットとして注目されています。