
1.論文のタイトルEchocardiographic and clinical patterns in patients with acute carbon monoxide poisoning without cardiovascular and other chronic diseases
2.CitationClinical Toxicology, 2025, DOI: 10.1080/15563650.2025.2456689
論文内容の要約
急性一酸化炭素(CO)中毒は、心筋障害を含む循環器系への重大な影響を及ぼす可能性があります。本研究は、心血管疾患やその他の慢性疾患(高血圧、糖尿病、貧血など)を持たない、それまで健康であった患者において、急性CO中毒が左室機能にどのような影響を与えるかを心エコー図検査を用いて評価することを目的としました。
ポーランドの単一センターで実施されたこの観察研究では、112名の連続したCO中毒患者のうち、除外基準に該当しない46名(中央値28歳)を対象としました。中等症から重症の中毒患者において、高感度トロポニンT値(14.0 ng/l超)により心筋障害が確認されたのは17名(36.9%)でした。
分析の結果、心筋障害を伴う群は、伴わない群と比較して、平均心拍数(108.9回/分 vs 87.6回/分)および血漿乳酸濃度(1.95 mmol/l vs 1.2 mmol/l)が有意に高いことが判明しました。症状としては意識消失やめまいが多く見られましたが、心筋障害がある患者の中に胸痛を訴える者はいませんでした。また、心筋障害あり群の64.7%において心電図上のST低下が認められました。
心エコー図検査による評価では、左室駆出率(LVEF)については両群間で有意な差は認められませんでした(59.8% vs 62.9%)。しかし、より感度の高い心筋収縮力の指標である左室グローバル・ロンジチュード・ストレイン(GLS)については、心筋障害あり群(-20.1%)が、なし群(-22.1%)に比べて有意に低下していることが示されました。
結論として、基礎疾患のない健康な患者が急性CO中毒に罹患した場合、心筋障害が発生していても従来の駆出率などの指標では異常が捉えにくい一方、GLS分析を用いることで微細な心機能の変化を検出できることが示唆されました。ただし、本研究は小規模なコホートに基づいているため、さらなる調査が必要であると述べられています。