
1.論文のタイトルVascular Complications After Venoarterial Extracorporeal Membrane Oxygenation Support: A CT Study
2.CitationCrit Care Med. 2025.
論文内容の要約
重症の心原性ショックに対して用いられる経皮的静脈動脈体外式膜型人工肺(VA-ECMO)は、救命に寄与する一方で、カニューレ挿入に伴う血管合併症のリスクが伴います。本研究は、VA-ECMOを離脱した成人患者を対象に、系統的なコンピュータ断層撮影(CT)を用いて、離脱直後の血管合併症の頻度、リスク因子、および臨床管理への影響を調査した retrospective なコホート研究です。
調査対象となった109名の患者のうち、81%という極めて高い割合で何らかの血管合併症が認められました。最も頻度が高かったのは血栓症であり、カニューレ関連深部静脈血栓症(CaDVT)が58%、動脈血栓症が33%の患者で確認されました。CaDVTの発生部位としては下大静脈が最も多く、動脈血栓症は大腿動脈に多く認められました。また、血栓性以外の合併症も44%の患者で見られ、動脈剥離、血腫、仮性動脈瘤などが報告されています。
これらの合併症の発生と、ECMOの装着期間、抗凝固療法の強度(ヘパリン投与量や目標値)、あるいはECMOの回転数といった因子との間に、統計的に有意な関連は認められませんでした。つまり、標準的な管理を行っていても合併症を完全に防ぐことは困難であることが示唆されました。
血管合併症の有無そのものは院内死亡率に直接的な影響を与えていませんでしたが、離脱後のCT検査の結果は、全体の83%の患者において治療方針の変更(抗凝固療法の継続や追加の外科的・血管内介入の検討など)に寄与しました。
結論として、VA-ECMO使用後の血管合併症は非常に一般的であり、その多くは無症状です。CTは超音波検査よりも深部や中心静脈の病変を検出する感度が高く、早期の適切な診断と治療介入を可能にするため、VA-ECMO離脱後のルーチンなスクリーニング検査としてCTを検討すべきであると提案されています。