株式会社名村造船所は、1911年創業の老舗造船企業で、その歴史は環境変化に適応し続けた「変革の軌跡」である。伊万里工場への大胆な設備投資や、佐世保重工業・函館どつくとの統合により、国内有数の造船グループへ成長した。現在は新造船事業を中核に、修繕船、鉄構・機械など多角的な事業ポートフォリオを構築し、収益の安定性を高めている。経営戦略では、環境規制を商機と捉えたLPG・アンモニア燃料船などの次世代船開発、拠点間シナジーの最大化、ESG経営を重視。市況変動や国際競争、資材高騰といったリスクを抱えつつも、技術力とグループ連携を武器に持続的成長を目指している。
内海造船株式会社は、高い技術力を持つ日本の中堅造船所として、多様な船舶の建造・修理を通じ国内外の海運ニーズに応えてきた。計画的な経営体制の刷新や日立造船との資本関係強化、グループ再編により事業基盤を強化。かつては輸出主導型だったが、現在は国内市場中心へ転換している。将来に向けては「顧客第一」を掲げ、環境規制対応船の開発、コスト競争力向上、人材育成、コンプライアンス強化を重視。リスクを認識しつつ、持続的成長と社会貢献を目指している。原材料の市況変動や為替リスクが主要な経営リスク。
総合商社は、世界中の「ほしい」と「つくれる」を結ぶ存在で、社会の裏側を支える巨大なオーガナイザーである。その中核は、モノやサービスの流れを創る「トレーディング」と、将来性ある企業を育てる「事業投資」の二つ。伊藤忠商事は、資源開発やクリーンエネルギー、水・廃棄物インフラ、コンビニの新たな購買体験まで幅広く社会課題に取り組む姿が示されている。すべての根底にあるのが「売り手よし・買い手よし・世間よし」の三方よしの理念で、社会貢献と持続的成長を両立させながら、未来を創り続けている。
いすゞ自動車(7202):社会の「運ぶ」を支えるグローバル企業社会の基盤である「運ぶ」を支えることを使命とするいすゞ自動車。その歴史は、2000年代初頭に営業損失を計上し、人員削減や配当停止を伴う厳しい経営改革を断行した過去にも象徴されるように、絶え間ない変革と再生の物語である。この経験こそが、今日の同社を形作る強靭さの礎となっている。
同社の事業は商用車(CV)と小型商用車(LCV)を中核とし、その屋台骨を支えるのが、大型トラックの象徴「ギガ」、都市内物流の主役である小型トラック「エルフ」といった象徴的な製品群だ。さらに、世界約120ヶ国で成功を収めるピックアップトラック「D-MAX」は、150ヶ国以上に広がるグローバルな事業展開における戦略的足掛かりとなっている。各国の市場環境や用途に合わせた製品群で、現地の経済活動を支えているのだ。
この伝統的な製造業の強みを基盤としながらも、いすゞは未来の成長が単なる車両販売の先にあることを見据えている。新たに策定した中期経営計画「ISUZU Transformation – Growth to 2030 (IX)」の下、顧客の課題を解決する「商用モビリティソリューションカンパニー」への変革を加速。これは、車両を販売する一度きりのビジネスから、そのライフサイクル全体を通じてサービスを提供する継続的な収益モデルへの転換を意味する。その象徴が、国内初のBEVフルフラット路線バス「エルガEV」や、燃費や位置情報を遠隔で収集・解析するクラウド型運行管理システム「MIMAMORI」といった取り組みであり、同社が未来の物流インフラをどう描いているかを具体的に示すものだ。
2000年代初頭の深刻な経営不振を乗り越えた経験を持ついすゞだが、現在も「為替変動」や「大口顧客への依存」といった事業リスクは常に存在する。しかし、その視線は未来へと向けられている。中核である製造事業を強化しつつ、新たなサービス事業を開拓する現在の戦略は、今日の市場変動を乗り切るために練り上げられた、まさに百戦錬磨の経営姿勢の表れと言えるだろう。
• 会社名: 花王株式会社 (Kao Corporation)
• 設立: 1940年5月21日
• 創業者:長瀬富郎(ながせ とみろう)。1887年に「長瀬商店」として洋小間物商を創業し、1890年には「花王石鹸」を発売。良質な国産石鹸の製造にこだわり、品質・包装・宣伝のすべてに力を注ぎ、花王ブランドの礎を築いた。
• 本店所在地: 東京都中央区日本橋茅場町一丁目14番10号
• 資本金: 854億円
• 証券コード: 4452 (東京証券取引所プライム市場)
• 従業員数: 34,257名(花王グループ、2023年12月31日現在)
花王グループは「豊かな共生世界の実現」をパーパスに掲げ、人と地球、すべてのいのちが調和して生きる社会の実現を目指す企業である。その根幹には、創業以来受け継がれてきた企業理念「花王ウェイ」と「正道を歩む」という価値観があり、法令・倫理を遵守した誠実な経営がステークホルダーからの信頼を支えている。コーポレートスローガン「きれいを こころに 未来に」は、清潔さや美しさにとどまらず、心の豊かさと持続可能な地球環境の実現を意味している。
事業はコンシューマープロダクツ事業とケミカル事業の二本柱で構成され、両者の連携による技術シナジーが花王独自の価値創造を支える。アタック、ビオレ、メリーズ、キュレルなどは売上高1,000億円超のグローバルブランドへ成長し、世界約100の国・地域で事業を展開している。中期経営計画「K27」では、技術的に優位性のある高付加価値分野に集中する「グローバル・シャープトップ戦略」を掲げ、構造改革と資本効率改善を推進している。
競争力の源泉は、物事の根本原理を科学的に探究する独自の「本質研究」にあり、環境配慮型素材や先進的スキンケア技術、将来のプレシジョンライフケアにつながる研究開発を生み出している。さらにESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」を通じ、脱炭素、資源循環、社会課題解決に取り組み、国際的にも高い評価を獲得。30年以上の連続増配実績に象徴される安定した株主還元姿勢とあわせ、花王は長期的な企業価値創造を志向する持続可能な企業である。
主な事業リスク
• 原材料価格の変動リスク
◦ 内容: 原油などの原材料価格の高騰は、製造コストを押し上げ、利益を圧迫する主要因です。
◦ 対応策: 製品価値に見合った戦略的な価格設定や、TCR(Total Cost Reduction)活動と呼ばれる徹底したコスト構造改革を通じて、収益性を確保します。
• 市場競争の激化と消費者ニーズの変化
◦ 内容: 国内外の市場における競争は激しく、消費者の価値観や購買行動は急速に多様化・変化している。
◦ 対応策: 「グローバル・シャープトップ戦略」による事業ポートフォリオの選択と集中、新たに導入した事業別ROICによる資本効率の徹底、及びDX活用によるマーケティング強化で収益性向上を図る。
アイシングループは「“移動”に感動を、未来に笑顔を。」を理念に、移動の進化を軸として環境・社会課題の解決に挑むグローバル企業である。2023年度の売上は約4.9兆円、世界15カ国に131の生産拠点を持つ。自動車の走る・曲がる・止まるを支える総合部品メーカーとして培った技術を基盤に、現在はエネルギーや交通弱者支援など社会全体に価値を提供するソリューションカンパニーへと変革を進めている。主力事業では電動化・安全・快適性を高める製品群を展開し、加えてAIオンデマンド交通「チョイソコ」や音声認識アプリなど新規事業にも注力。将来に向けては電動化、カーボンニュートラル、ソフトウェアファーストを重点領域とし、eAxleを核にCO₂削減とDXを推進する。品質至上を基盤とした企業文化のもと、多様な人材が挑戦し成長できる環境づくりと社会貢献を重視している。
鹿島建設は、土木、建築、開発事業を中核とする大手総合建設企業です。日本、北米、欧州、アジア、大洋州の5極体制でグローバルに事業を展開し、技術立社として次世代建設システムの構築を推進しています。
マルハニチログループは食品安全問題を経て、「安全・安心」を最優先とする経営へ転換。事業再編で水産資源・食材流通・加工食品の3領域に集中し、ROIC導入で資本効率を強化。漁業効率化やクロマグロ等の養殖拡大、北米でのタラ・カニの収益確保などグローバルに水産調達力を高めている。さらに価値を生む一貫型バリューチェーンを構築し、健康食品「リサーラ」や介護食品も展開。「海といのちの未来」を掲げ、持続可能な水産食品企業として成長を続けている。
主な事業内容:漁業、養殖、水産物の輸出入・加工・販売、冷凍食品・レトルト食品・缶詰・練り製品・化成品・飲料の製造・加工・販売、食肉・飼料原料の輸入、食肉製造・加工・販売
キヤノン(7751):カメラ屋の仮面を脱いだ正体は?
キヤノンは「グローバル優良企業計画フェーズ6」の下、カメラ・OA中心の旧来型事業から脱却し、商業印刷、ネットワークカメラ、医療システム、産業機器の4本柱へ大胆に転換している。2025年に売上4.5兆円超・過去最高益を目指し、生産拠点再編や高付加価値製品の強化を推進。半導体露光やナノインプリント、光子計数CTなど先端技術に積極投資し、R&Dとガバナンス強化、SBTi認証の2050年ネットゼロ目標を軸に産業テック企業への変革を加速している。
テクセンドフォトマスク(Tekscend Photomask)はTOPPAN分社を起源とする外販フォトマスク世界首位企業。EUVからレガシーまで全ノードをカバーし、8拠点のバーチャル一工場体制と高収益な財務基盤を持つ。シンガポール新工場など成長投資をIPO資金で加速し、ESGとガバナンス強化のもと半導体産業の中核として持続的成長を目指す。
楽天グループ(4755)の最新決算から、3つの大きな変化が明確になった。
第一に、モバイル事業は赤字継続ながら、グループ全体の財務指標が改善し、健全化への道筋が示された。
第二に、AI活用が急速に進み、社内利用は1年で17倍、検索や証券分析など具体的サービスにも拡大し、HPとの提携で外部展開も加速。
第三に、楽天モバイル契約者は「楽天市場」の年間購入額が48.5%高く、経済圏シナジーの実在が初めて数字で証明された。
楽天は投資から回収フェーズへ入りつつある。
ブラザー工業(6448)は、ミシン修理店から始まり、精密加工技術を核としてプリンターやミシンを展開してきた。しかし現在は、安定収益を生むプリンティング事業などの“収穫事業”で得た資金を、EV部品加工向け工作機械「SPEEDIO」や産業用印刷機を中心とする“成長事業”へ再投資する構造へと転換している。特にマシナリー・FA事業は中核戦略で、EV需要に対応した新型機を投入し、中国・インドなど成長市場で体制を拡大。一方で成熟市場では高効率機への置き換え提案を進める。また、ドミノ社買収により産業用印刷の領域でも存在感を強化。さらに中期戦略「CS B2027」では大規模な自社株買いや増配を掲げ、株主還元姿勢を強めている。ブラザーは今や“産業の巨人”への進化を加速させている。
資生堂(4911):米国大幅減損した150年の巨人の組織改革で目指す収益性15%への道
資生堂150年の覚悟:米国不振とのれん減損で最終赤字と1500人希望退職
※号外編
生成AIと高性能GPUが牽引するAI革命の陰で、半導体の品質を支えるのがアドバンテストだ。
世界トップシェアの半導体テスト装置メーカーとして、同社はAI・HPC向けSoCやHBMメモリの需要急増を追い風に、2024年度の売上を前年比60%増の7,797億円へ伸ばした。
単なる装置メーカーから脱却し、M&Aとデータ連携で「テスト自動化」を推進する総合ソリューション企業へ進化。
売上の98%を海外が占める真のグローバル企業であり、株主還元にも積極的だ。アドバンテストはAI時代の「品質の番人」として、未来のテクノロジーを支える鍵を握っている。
※ブログ記事:https://brisklore.com/ja/advantest-ai-test-industry-ja/
住友商事(8051)が2025年10月、IT大手SCSK(9719)を完全子会社化し上場廃止へ。
連結売上5,960億円・顧客1万社超を抱える“知られざるIT巨人”の決断は、守りではなく次の成長への「攻め」の一手だ。
SCSKは2012年から働き方改革を進め、8年連続で「健康経営銘柄」に選定されるなど“人を資本”とする経営を実践。コンサルからBPOまでを網羅する“フルラインアップIT企業”として、売上1兆円を目指す「共創ITカンパニー」へ進化中だ。
上場廃止の狙いは、住友商事との完全統合により意思決定を迅速化し、グループのデジタル戦略を加速させること。資本市場の制約から解放され、AI・グローバル・GXへの長期投資を強化。
自動車(SDV)、金融(AML対策)、脱炭素(ZEBiT)など社会課題解決型事業に挑むSCSKは、静かなるIT巨人から“日本の未来を共創するエンジン”へと変貌を遂げようとしている。
川崎重工は「バイク企業」の枠を超え、鉄道・潜水艦・航空・ロボットまで手がける巨大複合企業。
収益の柱は精密機械・産業用ロボットで高収益だが、鉄道車両は北米で大損し再建中、航空宇宙は納入後のMROで回収するJカーブ段階にある。
潜水艦やミサイルなど防衛分野も中核を担い、液化水素輸送船「すいそふろんてぃあ」に象徴される水素サプライチェーン構築に社運を賭ける。
複合事業ゆえの強みと構造的リスクが同居する企業だ。
1590年創業、430年以上の歴史を誇る住友金属鉱山(日本上場企業の中で第2位の長寿企業)は、「資源―製錬―材料」の三業連動を中核に据え、電気自動車(EV)と半導体産業の最前線へと突き進んでいる。
垂直統合(RSM)モデルの強みを生かし、電池材料分野における技術的課題の克服と、EV用ニッケルの世界的覇権の確立を目指す。その老舗企業の現在地とは?
財務面では、同社は堅実な財務体質を維持しつつ、積極的な株主還元策を実施し、国際会計基準(IFRS)を厳格に適用している。
経営面では、2030年に向けた長期ビジョンの実現を見据え、ガバナンスの強化とともに、持続可能な開発目標(SDGs)および温室効果ガス(GHG)削減への取り組みを明確に打ち出している。
さらに、海外での鉱山権益の取得・売却を積極的に進めるほか、東予工場では銅生産量が過去最高を記録。加えて、炭化ケイ素(SiC)基板開発企業の買収を通じて、半導体材料事業の拡大にも踏み出している。
深海から脱炭素へ――日本のエンジニアリング大手・東洋エンジニアリング(6330)は、いかにして「ブルー&グリーンの二重らせん」戦略でEPCの高リスクを乗り越え、未来に賭けるのか?
産業インフラのデジタル大改革:東洋エンジニアリングの「グリーン&ブルー」DXoT戦略は、危機とPBR0.5倍を脱出できるのか?
ポッドキャスター:迅知国際研究(brisklore.com)
証券番号:9983
ユニクロは単なるアパレル企業ではなく、顧客データを基盤に商品を生み出す「情報製造小売業」です。サステナビリティは流行ではなく、長く使える服を提供するビジネスモデルの核心で、リサイクル素材や修理サービスで具体化しています。グローバル戦略では、欧米市場での成長とアジア市場での質的改善を両輪とし、持続可能な展開を進めています。また、女性管理職比率46.1%など本気の多様性推進が経営戦略に直結。店舗も単なる販売拠点から、オンラインと融合したブランド体験の場へと進化しています。ユニクロは「服を変え、常識を変え、世界を変える」を掲げ、絶えず変革を続ける企業です。
より詳細な情報は brisklore.com の記事もご参考ください。
補足説明は キオクシア(285A)読み解く:たった数分の停電が344億円損失!?半導体ビジネスの驚くべき真実5選 @brisklore.com をご覧ください