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森雪之丞 Poetry Readingの世界『感情の配線』
森雪之丞
48 episodes
1 week ago
1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://x.com/yukinojo_news
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1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://x.com/yukinojo_news
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Episodes (20/48)
森雪之丞 Poetry Readingの世界『感情の配線』
同義語 <連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>

同義語 <連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>


想えば近づいてくる気がして
思考の外に追いやってきた
悲しみを伴うその響きを
寄せつけないだけの若さがあった
祖母が叔父が友人が
生き物としての約定(やくじょう)に従って消えても
違う世界の出来事だと思い込んでいた
だからとても時間が掛かった
それが『生』と同義語だと分かるまで


1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。
メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。

森雪之丞 自選詩集『感情の配線』
2024年1月14日(日)発売
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1 month ago
34 seconds

森雪之丞 Poetry Readingの世界『感情の配線』
反抗期の天使 <連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>

反抗期の天使 <連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>


あぁ気にしないで
ヒマだったからさ
ヒマだと色んなこと考えちゃうんだよね
存在…理由…みたいなこと
だって誰もボクを必要としないんだもの
だから気にしないで
黒いタイツ穿(は)いてシッポ生えてても


1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。
メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。

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24 seconds

森雪之丞 Poetry Readingの世界『感情の配線』
ヤドカリと十二月 <連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>

ヤドカリと十二月 <連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>


虫カゴで飼っていたヤドカリが
脱皮するために次の貝殻を探している
ヤツはいつ気づくのだろう
未来を運んでくるはずの波が
もう随分と来ないことに

抽斗(ひきだし)に残っていた線香花火を
ベランダの暗がりに咲かせた
咲きかけた瞬間
橙色(だいだいいろ)の玉を北風に掠め取られて実感したのだ
花火と私が季節に置き忘れられたことを

1年は12ヵ月
いつ教えられたのだろう
人として恙無(つつがな)く生きるための知識を
誰に入れ知恵されたのだろう
身体は獣の仲間だという秘密を
なぜ突きつけられたのだろう
心はコワレモノの一つだという事実を

花火を見上げた夏
度の強い眼鏡を外して彼女は言った
すべての光は色とりどりの涙だと
老眼の私は
近づくほど彼女を見失っていた

小さくなった貝殻のように
夏の亡骸(なきがら)は心を締めつける
脱皮しなければ
自由にならばければと
焦りながら私は待つ
未来からの波を

運命の虫カゴから逃げることのできない
ヤドカリにすぎないというのに


1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。
メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。

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2 months ago
1 minute 56 seconds

森雪之丞 Poetry Readingの世界『感情の配線』
十一月の旅人には翼がある<連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>

十一月の旅人には翼がある<連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>


探し続けていたのか?
逃げ回っていたのか?
華氏77℉の空港で虹を見つけた朝も
霞(かすみ)という町の路地で息を潜めた夜も
旅の途中だった

何処へ行こうとしたのか?
何処(ドコ)へ行っても其処(ソコ)がまた此処(ココ)になる
その騙し絵の中で生きて死ぬのが人だと言うのに
なぜ旅に憧れる?

晩秋の月はさめざめと青く
地面を濡らす寡黙な影が
男の背中に翼が生えたことを教える

翼…
何処にも行けない旅人を見兼ねて
神が与え給うた奇蹟(ギフト)
男は笑う
飛び方を知らずに翼を持つこと
そいつは
叶え方のわからない夢を抱え込んできたことと
何が違うと言うんだ

無意味な分 翼は重い
囚人が引き摺る鉄球のように重い
歩き疲れ 其処(ソコ)が此処(ココ)になり
十一月の闇が朝の気配に溶かされた頃
旅人は気づく
空は飛べなかったが
初めての町に 辿り着けたじゃないかと

光に震えて 翼が少し拡がる
役立たずのくせに
何故か自慢気に


1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。
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2 months ago
1 minute 38 seconds

森雪之丞 Poetry Readingの世界『感情の配線』
怪盗セプテンバー <連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>

怪盗セプテンバー <連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>


「朝日は夕陽にして返す
涙は夢見薬(ゆめみぐすり)に調合して枕元に樅いておく」
怪盗の言業は揺るぎない
義賊としての威厳に満ちている

「盗まれたいものは他にないか?」
怪盗は訊ねる
去年と同じ口調で

「あのぅ…」
「ドーナツの穴は盗めない」
「いえ恋人の記憶なんですが…」

——そう 彼女は堤防にいた
波に生まれた光の蝶が
麦わら帽子と戯れていた夏の午後
——彼女にはわかっていた
恋という美しい誤解が剥がれた後も
愛を演じあわなければならない
幸せの醜さを
——そして彼女は

「あぁ愛を知ることに臆病な男よ
お前は忘れているだろうが
それは毎年私に盗ませている記憶だ」

そう言いながら
怪盗セプテンバーはマントを空に翻し
忽然と消え去る
海辺に 私と気怠(けだる)い9月を残して

目をこすり目を開ける
この何か新しい恋が始まりそうな予惑は
錯覚なのだろうか


1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。
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3 months ago
1 minute 35 seconds

森雪之丞 Poetry Readingの世界『感情の配線』
孤独の旗、七月の風。<連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>

孤独の旗、七月の風。<連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>


あなたが潔(いさぎよ)く
自らの孤独を旗と呼ぶのなら
私はその旗を勇壮に揺らす
七月の風になろう

淋しさのデザインや痛みの配色
あなたが誇らしく
あなただけの旗を掲げる限り
私もまた真摯な風であり続けよう

情熱は煽(あお)りあうもの

歓びは響きあうもの
憧憬は混ざりあうもの
けれど孤独は決して
分かちあえないもの
不可侵な孤独だけが旗となり
雑駁(ざっぱく)な世界の地図に
あなたの位置を意味づける

翻れ 夏空を
翻れ 未来へ

私が傲慢に
自らの愛を風と吹聴する間は
美しい人よ
その涙でまた私を魅了しておくれ


1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。
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森雪之丞 Poetry Readingの世界『感情の配線』
日曜日の天使は退屈、特に三月は。<連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>

日曜日の天使は退屈、特に三月は。<連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>


日曜日の天使は退屈
だって誰もボクを必要としないんだもの
特に三月はね

バレンタインデーまでは大忙し
月曜日に求愛の弓を磨き
火曜日は腕立伏せで筋力アップ
水曜には街中の図書館を回って
すべての本から『絶望』という言業を消した
さて下準備が整ったら

木曜に片想い真っ最中の彼女を見つけ
金曜日は探偵気取りで彼氏の身辺調査
無愛想だけど悪い奴じゃなかったから
土曜日の朝 恋の矢を放った
もちろん見事命中!
そして果たして要するに
日曜日の天使は退屈

ブロンドの枝毛を切りながら
何もない月曜日の予定を考える
そうだ! 天気が良かったら
春の萌(きざ)しをあちこち探して過ごそう
濡れた枯葉の下に息づく小さな新芽や
寒空(さむぞら)のガウンを脱いだ太陽
キーが半音上がったツグミの歌や

そして果たして要するに
気になるあの二人のファースト・キスもね


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森雪之丞 Poetry Readingの世界『感情の配線』
そして1年が過ぎ 〜 時の配達人さんへ <連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>

そして1年が過ぎ 〜 時の配達人さんへ <連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>


そして1年が過ぎ
庭先の薔薇は少し小振りになった
トネリコの枝に残る巣の主は旅立ったままだ

1年が過ぎ
私は2人の友を天国に見送り
妻は3kgのダイエットに成功し
4歳の娘には人生5つ目の秘密ができた

1年が過ぎたが
あの日と同じように
誰かの声に いや どうせ風なのだろうけれど
呼ばれた気がしてつい空を見上げる

四つの季節が巡る国では
記憶に様々な色彩が刷り込まれているものだ
だが不思議なことに
私は灰色の空しか覚えていない
分厚い磨りガラスが嵌(は)め込まれたような
巨大なドブネズミ達に占拠されたような
気だるい憂鬱の固まりのような空

1年が過ぎて
彼女にはきっと新しい恋人ができただろう
太陽が滲(し)み込んだ彼のジャツに顔を埋めた時

どんなに世界が灰色でも
雲の切れ目に陽だまりを見つけ
そこに立ちすくむことが幸福なんだと
たぶん気がついた頃だろう

庭先の薔薇は少し小振りになった
巣の主はまだ帰らない
私は
1年前の私が今の私に宛てた曇り空の絵葉書を
1年後の私のために真っ青に塗り直し
時の配達人が来るのを待っている


時の配達人さんへ


2ヶ月も来なかったくせに
ドサっと半年分の時を配達しないで下さい
2ヶ月も長く私は思い出に苛(さいな)まれ
4ヶ月も長く私は綺麗な涙を忘れてしまう
月が太陽と交わした契約を
時と心はいつから守らなくなったのですか?


1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。
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森雪之丞 Poetry Readingの世界『感情の配線』
生きる、あなたに泣いてほしくて。

生きる、あなたに泣いてほしくて。


生きる
答えを知りたくて
生きる
答えがでるまで
生きる
答えがないので
生きる
答えをでっちあげて
生きる

うずまきの貝殻を三つ
あなたの胸に並べたら
命の音が夜に零(こぼ)れた
砂の丘
打ち棄てられた手漕ぎのボート
時はまた無感情に
水平線から鼠色(ねずみいろ)の朝を
引き上げようとしている

生きる
死にたいと言いながら
生きる
死ねない訳だから
生きる
死んだフリしてみたりして
生きる
死んだことがないまま
生きる
死ねない訳だから
生きる
死んだフリしてみたりして
生きる
死んだことがないまま
生きる

この夏 あの蝉時雨
降りしきる生と死に濡れて恋は始まり
あなたの心臓が心に変わると
僕の命は愛になった
たった数日の生涯を
「ツクツクボウシ」
とだけ鳴き続けて終える生き物みたいに
「スキスキドウシ」
とだけ囁きあっているうちに死ねたら
人はどんなに美しいだろう

生きる
嘘に塗(まみ)れながら
生きる
愚痴に汚れながら
生きる
理不尽を喚(わめ)きながら
生きる
そんな自分を戒めながら
生きる

「大丈夫。」と
未来に待ち針を刺すようにあなたが言う
その安心な偽りは
夜が明ける頃 真実になる
怯える僕を
情けないほど愚かな僕を
今日はあなたがだましてくれる
「大丈夫。」と
羽化し始めた魂を真綿で包むように囁いて

生きる
あなたが生きているので
生きる
あなたを見ていたいので
生きる
あなたを守ろうとして
生きる
あなたを傷つけてしまうけれど
生きる

ありがとう
こんなに僕を愛してくれて
ごめんなさい
こんなにあなたを愛してしまって
心の蝉は鳴き止まない
言葉にすると恥ずかしい
うるさいほどの気持ち

生きる
一日に一度空を見上げて
生きる
一日に一つ夢を描いて
生きる
昨日より今日を気高く
生きる
今日より明日を凛々しく
生きる
ちゃんと死ぬためにちゃんと
生きる

死んだ時あなたに泣いてほしくて
死んだ時あなたに泣いてほしくて

生きる


1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。
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森雪之丞 Poetry Readingの世界『感情の配線』
夢と旅の図式 (全員)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>

夢と旅の図式 (全員)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>


   女:私達は出逢う
     それが運命のように
   男:僕達は恋に落ちる
     すべてを運命のせいにしながら

 天使1:ひとりになると分かるんだ
     誰かが隣にいることは

 天使2:36°Cの静かな炎に
     心が照らされていること

   男:僕達は見つめあう
     もっと素敵なあなたを知りたくて
   女:でも私はふと目を伏せる
     自分の弱さに気づかれてしまいそうで
     必死に他の誰かを演じては
     後悔ばかりしている

ピーター:目の前で彼が微笑んでくれているのに

 魔術師:そうかわかった
     ひとつだけ教えてやろう
     〝夢〟は手に入れたとたん見えなくなる
     だが無くなったのではない
     それは心に溶けてしまったからだ
     〝夢〟の本当のチカラは
     おまえの中で〝勇気〟に変わること
     おまえの強さに変わること

   男:僕達は抱きしめあう
     太陽が沈まない国を見つけた冒険家のように
     有頂天になって

   女:私達は幸せの種類を幾つも増やす
     頑固な大人達が月に眠らされている隙に
   影:世界の至る所に仕掛けられた
     〝哀しみ〟のことはすっかり忘れて

  旅人:もう少しだけこの場所で
     あなたとこうしていたいのに
     景色が動いてしまいます

旅人&影:扉が開いてしまいます

 魔術師:何度押しても来なかったエレベーターのボタンは
     運命を乗り換えるスイッチだったかも知れない
ピーター:カウンターの隅で寝ている酔っぱらいの戯言(ざれごと)は
     楽園の扉を開く呪文かも知れない

  旅人:マンションの廊下の不自然な水溜りは
     殺人の凶器だった氷の塊が溶けたものかも知れない
 天使達:マンションの廊下の不自然な水溜りは
     誰かの失恋を憐れんで
     天使がこぼした涙かも知れない
ピーター:ウエンディの背中にあるホクロを繋げると
     愛という宝物が隠された地図になるのかも知れない

ウエンディ:ピーター帰っていらっしゃい
     あなたが探し続けるのは
     とっくに持っていることに気づけないモノ

   男:あなたの瞳を覗き込むと
     僕がいました
   影:「愛してる」と言いながら
     何が愛だかさっぱり分からない
  男&影:臆病で大胆な詐欺師のような僕が
 天使達:いえ迷子のままのあなたが
  男&影:あなたの瞳に滲んでいました

   女:あなたの心を覗き込むと
     私がいました
   影:あなたをこんなに好きなのに
     自分をちっとも好きになれない
  女&影:嘘つきで意地っ張りなエゴイストが
 天使達:いえ壊れそうなあなたが
  女&影:あなたの心で震えていました

   女:私達は出逢い
   男:恋に落ちる
ピーター:僕達は見つめあい
ウエンディ:ふと目を伏せる
 魔術師:やがて二人は抱きしめあい
 天使達:幸せの種類を幾つも増やす
   女:そして私達は
   男:僕達は
   影:別れる

  男達:人は旅人
     通り過ぎた風の中に
     幾つもの物語を残しながら
  女達:みんな旅をする
     まだ見ぬ誰かと
     まだ見ぬ自分に出逢うために
  全員:〝夢〟の本当のチカラは
     次の扉を開ける〝勇気〟に変わること
     〝勇気〟に変わること


《for your ears only ver.》


1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。
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森雪之丞 Poetry Readingの世界『感情の配線』
カーニバルの魔術師(魔術師=猪塚、旅人=森) <代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>

カーニバルの魔術師(魔術師=猪塚、旅人=森) <代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>


魔術師:「 私のせいにすればいい。」
 旅人:と怪しげな魔術師が言う
 旅人:三角テントの中の青い闇を吸い込むと
    水晶玉に心が映し出されてしまいそうで
    私は脅えている

魔術師:「おまえが人間である以上
    絶望の霧が晴れることはない。
    だが胸に秘めた情熱を解き放つ
    カーニバルの夜は必ずやって来る。」

 旅人:確かに恋人を失ってから
    何のために旅を続けるのか
    答えを探せずにいたのは事実だ

魔術師:「旅の途中でカーニバルに出会ったら
    ためらわずこの薬を飲め。
    そして私の魔法のせいにして
    欲望のままに踊り狂えばいいのだ。」

 旅人:半信半疑で薬瓶を受け取り
    逃げるように立ち去る私の背中に
    魔術師はこう付け加えた

魔術師:「夢を見るとは
    迷うことを楽しむことなのじゃよ。」

 旅人:数日後私はある街で
    賑やかなカーニバルに出くわした
    中央の広場にはサーカス小屋が立ち
    人気者のピエロが観客の笑いを集めていた
    見えない壁に何度もぶつかり何度も撥ね返される
    彼の滑稽なパントマイムは
    人生を比喩しているようにも思え 心が震えた

    だがそれと同時に僕は気づいていた
    あのピエロは数日前のインチキな魔術師と同じ男だと…
    そしてさっき飲んだ魔法の薬が
    咳止めシロップと同じ味だったことを思い出し
    苦笑いした

    そうアイツの言ったとおりかもしれない
    迷うことを楽しめたら
    人は永遠に 夢を見続けられるのだ


《for your ears only ver.》


1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。
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森雪之丞 Poetry Readingの世界『感情の配線』
Art of HeArt(天使1=牧野、天使2=礒部)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>

Art of HeArt(天使1=牧野、天使2=礒部)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>


天使1:ね?気づいた?
    heartの中にはartがある

天使2:詩情(ポエジー)には姿がないけど
    指先が動いたらそれは絵になる
    唇からこぼれたらそれは歌になる
天使1:石を削れば彫刻に
天使2:布と遊べば洋服に
天使1:光を集めて写真にと
    ほら少しずつ見えてくるよ

天使達:心の中にあるartが
    あどけない魂の輪郭が


1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。
メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。

森雪之丞 自選詩集『感情の配線』
2024年1月14日(日)発売
特設サイト:⁠https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/⁠

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森雪之丞 Poetry Readingの世界『感情の配線』
哲学するピーターパン(ピーター=猪塚、触れたモノ達=他の3人)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>

哲学するピーターパン(ピーター=猪塚、触れたモノ達=他の3人)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>


ピーター:眠りから醒め
     瞳(め)を開けたまま夢を見ようとした時
     そこには太陽があった
     まぶしさに触れたくて手を伸ばしたら
     突然気がついた
     光が影を作っていたんだ と
     太陽のある国で生きていく限り
     憂鬱な影が纏わりつくのは仕方ないんだ と

     これは真理だ!
     こんなところに転がっていた
     僕は興奮した
     影から逃げる強迫観念がなくなって
     輝くモノにもっと触れたくなった

     輝きはきっと神様が付けた目印だ
     眩しさに惹(ひ)かれて近づくと
     そこには何かが隠されている
     知りたかった答えや
     『次』を開くための鍵や
     自分の背中が見える魔法みたいなモノが

     輝きの目印はあちこちに点在する
     煙突屋根にも 暗い密林にも
     ウェンディ自慢のパンプキン・スープの中にもある
     心が怠けていなければ
     双眼鏡は必要ないんだ

     それはまるで〝秘宝(おたから)発掘ゲーム〟
     楽しんでいるうちに自然と心が強靭になる
     宝を10個集めると精神レベルが1upして
     いつか賢者になれるかも知れない
     僕は今までに触れたモノを思い出し
     学んだことを整理してみた

     ① 月に照らされた夜の鏡
     ――僕が見ているのは右に心臓のある自分
       人は永遠に本当の自分を観察できない

     ② 朝露に濡れた薔薇の蕾(つぼみ)
     ――何百というアブラムシが絡みついていた
       人間の思いも寄らない場所にも
       この星の営みがある

     ③ ウェンディが忘れていった銀のピアス
     ――あんなに注意深いのに?なぜ…
       秘密を咎めるようにそれは
       バスルームに置かれていた

     ④ 夜も眠らないSHINJYUKUの電飾
     ――知らなかった…イルミネーションが
       集う人々の淋しさに引火して
       闇を燃やしていたなんて

       何だか哀しくなってきた...

     ⑤ 工場跡の瓦礫でキラキラしていた金属
     ――拾いあげると遠くで悲鳴が聞こえた
       ...散弾銃の部品(パーツ)だった

     賢者を気取って
     僕はいったい世界の何に触れようとしたのか?
     ここにあるのは
     光に隠蔽(いんぺい)されていた醜い現実じゃないか!

     僕は焦った
     そしてもう一度 太陽に触れてみた
     めいっぱい背伸びをして強烈な光を浴びると
     いつものように
     漆黒の影が僕を地面に縫い付ける

     輝きは神様が付けた目印だ
     眩しさの中にはいつも何かが隠されている
     答えや警告や
     『次』を開くための鍵に変わるモノもある
     でもそれは
     魔法のように都合のいいモノばかりじゃない
     絶望の破片や どうしようもない孤独や
     迷路への招待状も紛れ込んでいる
     それらは容赦なく僕達に挑みかかってくる
     影はキャプテン・フックの鉤爪の形になり
     僕達の弱さを執拗に責め立てる
     幾重にも傷ついた心が
     賢者の筋肉になるんだと言わんばかりに

     それでも僕は輝くモノを抱きしめるだろう
     パンプキン・スープが冷めてしまう前に
     ニュースが昨日の自殺者の数を報じる前に
     鉛の影を引きずったまま
     それでも僕はもっと知りたいと願うだろう
     この世界の総(すべ)てと
     その総ての外にある無限の可能性について
     たぶんそれが
     太陽のある国で
     瞳(め)を開けたまま夢を見る
     たったひとつの方法だからだ


《for your ears only ver.》


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森雪之丞 Poetry Readingの世界『感情の配線』
太陽のある国(女=牧野、影=森) <代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>

太陽のある国(女=牧野、影=森) <代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>


女:涙に色があって
  もし真っ赤だったら
  今の私は血だらけの惨殺死体だろう

影:女は台所の闇に転がっている
  冷蔵庫から洩れる光が
  胸に刺さった物語の破片に
  小さく反射する

女:あなたは太陽の匂いがした
  男だけが暮らす真昼だけの王国で
  獰猛な自分の影と闘う戦士だけが持つ匂い
  あなたの背中に指を這わせ
  一つひとつ骨の形を確かめながら抱かれる夜
  他人という存在を
  これほど愛(いと)おしく感じたことはなかった

影:男は旅人
  確かに太陽の匂いがした
  でもそれは
  初めて嗅いだ愛の匂いだったのかも知れない

女:重ねようとした唇の隙間に
  桜の花びらが舞い降りたのは春

影:空も風も微笑みに跳ねる光のサカナ達も
  すべて運命に記されていたような夏の午後

女:私は嘘をついた
  あなたを怒らせるために
  ただちょっと優しさと退屈の違いを
  教えて欲しかっただけなのに

影:男はすでに知っていた
  太陽の沈むこの世界には
  美しいがゆえに儚いものが幾つも隠されている
  女が今触れようとしているのは
  その中のひとつ
  〝失って初めてここにあったと気づくモノ〟だ

女:〝失って初めてここにあったと気づくモノ〟

影:手に入れるためには失うしかない
  だから人はすでに持っていたとしても
  手に入らないものとしてひたすらそれに憧れ続ける

女:例えばそれは?

影:...幸せ。

女:さみしいよ...さみしい…
  ねぇ聞こえる?
  あなたが消えてから
  太陽の昇らないこの部屋で
  あなたに言えなかった言葉を
  何度も囁いています。
  あのね 最後に一言
  ありがとうって言いたかったんだ。
  こんな私でも 他人(ひと)を愛せるんだって
  あなたが教えてくれたんだよ。
  うん今は泣いてるけどね
  泣いてる自分も嫌いじゃない。
  だってあんなに夢中であなたを愛せたこと
  せめて涙で誉めてやらなきゃって
  そう思うの。

影:涙に色があって
  もし真っ赤だったら
  女は無残な惨殺死体だろう
  でも愛を知った涙はこんなにも透き通っていて
  溢れるたびに温かい

女:ありがとう…
  私はあなたに感謝している。
  そして今こうして生きていることにも
  感謝したいと思う。
  幸せに憧れて旅を続ければ
  悲しみはまたどこかで待ち伏せしているだろうけど
  大丈夫、ほら私も太陽の匂いがするでしょ。
  それは臆病な自分と闘う戦士の匂い
  あなたからもらった愛の匂い。

影:女は台所の闇に転がっている
  冷蔵庫から洩れる光に
  そっと指を伸ばすと
  不思議な輝きに彼女は満たされる

女:私は立ち上がり
  冷蔵庫のドアを大きく開ける

影:するとそこには太陽

二人:燃え盛る永遠の太陽

女:どこまでも広がる夏の青空に向かって
  私は歩きだす


《for your ears only ver.》


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森雪之丞 Poetry Readingの世界『感情の配線』
SOKO に居た(森雪之丞)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>

SOKO に居た(森雪之丞)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>


俺は S O K Oに居た

1 9 9 0 年のイタリアに居た
異端者達の集うカフェで
イタチゴッコを繰り返す警官とスリの間に居た
委託された若さを使い切れずにいた
痛みがコメカミを襲うたび
徒(いたずら) に白い粉を買いあさり
傷んだホテルの階段で売女(ばいた)を抱いた

俺は S O K Oに居た

蒸し暑い午後の伊丹空港に居た
板谷佐織という女が隣に居た
自分の身体には巫女(いたこ)の血が流れていると言っていた
その夏はイタコロカイカイが大量発生した年で
踏みつけると黄色い体液が飛び散り
虎杖(いたどり)の様な花がスニーカーに咲いた

俺は S O K Oに居た

いたたまれない恋に板谷が泣いた
最後のセックスの絶頂(いただき)で
俺は彼女のいたいけな睫毛をライターで焼いた
「痛ましい事件だ」と共同通信(ロイター)が書いた

壁から剥がれかけた日本地図の
自分が『居た』場所にピンを刺してみる
俺は S O K Oに居た…そう呟きながら
黄金色の『点』を増やしてゆく
S O K Oに居たことだけが事実で
どんなに愚かであっても無実で
その戻らない時間こそが果実だったと思う

まだソ連が存在する地球儀に
マーカーで印を付けてみる
俺は S O K Oに居た…そう呟き続けると
『点』はやがてスペースを拡げ『面』になる
偶然に現れた『面』は顔のように見える
自分が何者かわからないまま生きてきたけれど
きっとこれが俺の顔だ
曖昧な時間の中に出来事という『点』を打ってきた
俺の顔だ

俺は S O K Oに居た
居たリアに居た
居た丹(み)空港に居た
居たん者の横に居た
居たチゴッコの間に居た

居たみの中にも居た
居た谷(や)佐織の心に居た
居た女(こ)の血に浮かんで居た
居た杖(どり)が咲居た
居た頂(だき)の途中で未来を裂居た
居たたまれない居たいけな居たましい
居たずらをラ居ターで焼居た
そして 居たいになった恋のそばに
ずっと佇(たたず)んで居た


1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。
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森雪之丞 Poetry Readingの世界『感情の配線』
腐らない果実(礒部花凜)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>

腐らない果実(礒部花凜)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>


安心していい
おまえが飛び込んだ午後 12時38分のプールに
哀しみはひとかけらも紛れ込んではいない

粉々に割れた太陽が水飛沫(みずしぶき)に変わり
白いスイミングキャップが再び水面に現れた時
夏は見事に完成した

パティオに繚乱と咲く原色の草花
パンの屑を啄(つい)ばみながら食卓(テーブル)を闊歩(かっぽ)する小鳥
銀の皿に盛られた果実の中から
奔放に熟れた桃をひとつ選び取り
出来る限り粗暴におまえはそれを齧(かじ)る

ローブを羽織ることさえもどかしく
濡れた身体が纏(まと)うのは音楽だけ
こぼれる雫は足元で
永遠の在処(ありか)を告げる象形文字に変わり
解読しかけては太陽に盗まれる

なぜ恋をしたのか訊ねあうことは
なぜ生きているのか答えようとするくらい

無意味な行為だと学んできたから
二人はもう
滴り落ちるセツナサを隠そうとはしない

恋人よ
ラベンダーに群がる蜜蜂が
不吉な和音で羽根を震わせても脅えることはない

恋はいつか終わる
甘く瑞々(みずみず)しい桃が
数日後地面で爛(ただ)れた姿を晒すそれとまったく同じ理由で
恋は朽ち果てる

互いの痛みを分かちあい
我儘を讃(たた)えあい
希望を失くさず犠牲を厭わず
神が妬むほど完璧な関係であればあるほど
溢れゆく月日の濁流は
二人がそこに留まることを許さず
やがて恋はその形すら保てなくなる

恋人よ
恋はいつか終わる
だがそれは悲しむことではない

幸せに満ちた夏の午後
別れた後の自分を空想し
必ず今日を思い返すことがあると想像できれば
降りそそぐこの陽射しが
絡めあうこの指先が
今生まれ今消えようとするこの 1秒が
どんなにかけがえのないものなのか気づくはずだ

恋人よ
心配はいらない
齧りかけの桃に群がる蟻の一団が
嫉妬深い神の化身だとしても
脅えることはない

世界で唯一腐敗することのない
『記憶』という美しい果実を
二人は今 実らせたのだから


1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。
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森雪之丞 Poetry Readingの世界『感情の配線』
例えば闇を太陽の形に切り取ること(猪塚健太) <代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>

例えば闇を太陽の形に切り取ること(猪塚健太) <代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>

絵画館から続くこの舗道(みち) は いつ未来に繋がったんだろう

暗闇で触れた君の唇は 新しい生き物のように 七月の恋を呼吸していた

傘は捨てよう 湿った空気が雨を予感させるけれど 僕達の手は ぬくもりを囁きあうのに忙しい

立ち竦(すく)むほどの 夜の重さ 自分を責めるだけの 夜の長さ 寂しさに溺れるための 夜の深さ ひとりきりじゃ生きられないことを どうして君も知っているの?

もう少し歩こう 寄り道が楽しいのは子供の頃と同じ 最後に帰る場所で 愛が僕達を待っているからだ

会話や微笑みやキス それが途切れた時の柔らかい沈黙 君が僕にくれるのは 例えば 明日を探すヒントや勇気みたいなモノ

僕が君にできるのは 指でハサミを作って 例えば 闇を太陽の形に切り取ること

夜がどんなに 重く長く深くても 闇の向こうには光が溢れていることを 僕なら君に伝えられると信じて

僕が君にできるのは 例えば闇を太陽の形に切り取ること

1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。

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森雪之丞 Poetry Readingの世界『感情の配線』
二月の文学(牧野由依)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>

二月の文学(牧野由依)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>

やがて雨が雪に変わると あなたは睫毛を街燈に向け微笑む またひとつ 世界の秘密を見つけたように

そんなとき私は 空気として吸い込んでいた言葉が 感情の輪郭を現すのに気づく あわく いびつに ずっしりと それは二月の 文学 物語が舗道に降り積もる

そうだったものをそうだと言い直したり 見えないものをあると言い切ったり 言葉にならなかったものを やはり言葉にできなかったり

いつしか私は 二月の文学にとじこめられる 凍った唇への驚きと共に

千あるものを一文字で言いくるめたり 一つしかないものを千の比喩で言い落したり 言葉にならなかったものを もう一度言葉にしようとして 私はまだここにいるのだろう あなたと この世に この夜の隅に

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逃亡のような追跡(森雪之丞)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>
逃亡のような追跡(森雪之丞)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>

魂がまた逃亡した

残された身体はまず溜息をつき 愛する人に短い手紙を書いてから 沈む夕陽へとハンドルを切る

魂の逃亡は 無理に大人を演じてきた 自分への復讐なのか? 用意されたエピソードを選ぶしかない 未来への警告なのか? それとも夢の荒野を走り続けた 無頼漢(ピカレスク)への憧憬(あこがれ)?

俺はいつしか 見知らぬ風景の中にいる 初めての街には 迷うための道があり 孤独を映すための月が出る 24や60で割り切れない時間が流れ 言葉の通じない北風が吹く

そこにあるのは ざらざらとした違和感 ヤスリのような疎外感

自慢だった人生の垢は擦(こす)り落され 俺はヒトという生き物に戻る ヒトは失っていた情熱を猛烈な速さで思い出し あっと言う間に魂を捕獲する そして不安の中に潜む自由の匂いを嗅ぎ当て 新しい俺がまだこの世界のどこかにいることを教える

生きるということは 生きてゆく自分が 生きてきた自分に 闘いを挑むことだ

魂は逃亡し 身体がそれを追跡する その密かな祭りのような数日を 人は 旅と呼ぶ

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森雪之丞 Poetry Readingの世界『感情の配線』
ビルを落下するカメラだけに写る真実

ビルを落下するカメラだけに写る真実

宇宙の塵になったはずの 人工衛星(スプートニク)から送られてくる ノイズのような暗号

地球では絶滅したはずの 愛の存在を頑なに信じるヒトという種族

涙を音符に見立てて奏でる彼のトランペット 大統領補佐官より論理的(ロジカル)な彼女のジョーク 迷子と逃亡者を識別できる僕のキス 昔天使だったと錯覚させる君のペイン 子供の頃憧れた世界はもっと美しかったと スプートニクの暗号で囁きあう僕達 そして 未来への通路に見える扉が実は 壁に描かれた絵だと知ってしまった僕達の絶望

すべてが偽りに汚染されたこの時代の ビルを落下するカメラにだけ写る真実 一瞬世界に隠された光を集めて 次の瞬間粉々に砕け散る真実

1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。

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