Today's List■ 石川さゆり: 天城越え/ 津軽海峡・冬景色
100回!祝!100回!
いやーここまで来られるとは思っていませんでした。大した努力もしませんで再生回数が爆伸びすることなどあり得ないのですが、それでも今聴いてくださっているあなた、あなたが居なければ随分前に放り出していたと思います。本当にありがとうございます。大好きです。いや本当に。
そ、し、て. . .
10/6(金)18:30開場、19:00開演 代々木上原けやきホールにて
竹森ゆきえ 金井裕 デュオリサイタル
もうスケジュールに入れて下さいましたか?!待ってます!!そうですよ!!ホールですよ!あなたが来てくれないとほんとガラガラですよ!!どうすんだ!!どうしよう!!!
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去年よりさらにグレードアップして、二人で様々な音楽をお届けできること、嬉しく思います。
それではどうぞ夏の思い出をたくさん作って下さいね!またお会いしましょうー!
Today's List■ 五木ひろし: よこはま・たそがれ/ 石田あゆみ: ブルーライト・ヨコハマ
ちなみに同じ横浜住まいである私たちの家も近所と言えることは全くなく、免許のない金井が時間をかけて電車を乗り継いで竹森の家まで行くと、翌日ブッ倒れるくらい異常に負担のかかる旅となります。
あのつらさは、まさに演歌にうってつけ…
なーんて考えたりしていると、横浜市民が市内の人々とも、外界の人々とも、生涯交流を継続するにはかなりの労力が要されるということがわかります。港があろうとなかろうと、別れが多い町なのも当然ですね。
「横浜市内のアクセスを快適にして下さい」というやるせない心情を誰かが歌いあげたら、これこそ大ヒット、ご当地ソングになること間違いなしでしょう。
CCSS②■ Saint-Saens "Danse Macabre" op.40 -- サン=サーンス "死の舞踏" op.40
美術的モチーフとして人気だった『死の舞踏』を描いた絵画がどれもポップに見えるのは、単純にガイコツというビジュアルにちょっとひょうきんな印象があるからかも知れませんね。ヨーロッパにおけるガイコツは幽霊みたいなものだそうです。
ペストが流行った頃、死者がおびただしい数に上ったのは、ペストそのものに罹った人に加えて、看病する人や神に祈りを捧げる人、死体を処理する人、大黒柱を失って食べ物に困る人…そういった疲労に倒れた人の数も加えられることも原因にあるようです。それこそ「踊れば」ペストに罹らない、という噂まであったそう。
「死」と「踊り」をモチーフにした音楽といえばもう一つ、タランテラが思い浮かびますが、タランテラの場合、生きている人間が死ぬまで踊り狂う、というテーマなので、狂気から来る笑いや、恐怖、切迫感があります。それに比べて死の舞踏では、踊る者は既に皆死んでいます。鑑賞者に与える不気味さとは関係なく、踊る者には恐怖らしい恐怖がありません。単に朝が来れば各々、元いた墓場に戻るだけです。そういう事情が、こういった音楽にどことなく漂う呑気さや優雅さみたいなものの表現に繋がるのかも知れません。
CCSS①■ Saint-Saens: Odelette op.162 -- サン=サーンス: 叙情小詩 op.162
サン=サーンスは、パリ音楽院の教授にはなっていません。教育的な音楽の作曲に精を出すこともなく、「音楽的な」音楽ばかり作っていたことが、後世の音楽学生たちには演奏が難しかった一因かも知れません。しかしニデルメイエール音楽院で教鞭を取った時には、面白く、意義ある授業をする先生だったようです。
サン=サーンスがワーグナーの影響を受け過ぎる若手を危惧したというお話をしましたが、ちなみにドビュッシーは割と早い段階で脱ワーグナー宣言(?)をしています(しかしその後しばらく、彼の音楽にはやはり継続してワーグナーの影響が見られます)
フランスらしい、また作曲家独自の音楽を模索して足掻く中で、これという道をそれぞれ見つけるのがとても難しかった時代ですが、パリジャンであったサン=サーンスの音楽にはっきりとした哲学が軸として通っていたことは、振り返ってみればフランスにとって幸運であったといえるでしょう。
Today's List■ Gerges Hue: Fantasie -- ジョルジュ・ユー: ファンタジー
ガンダムは、オタク第二世代でした!
そもそもオタクの素養があれば二人とももう少し音楽オタクになっていたはずなので、まあ語ってもこの程度ですが、好きなものは好きだからということで…
さてコンクールもの最後は、東洋とギリシャ神話的な雰囲気を融合させたようなユーの世界でした。この曲だけが有名ということは、フルートの歴史の点から見るとやはり欠かせない重要なものを何か持っているということでしょう。フルートのきらめく音楽を押し出していくここ数週間でお届けした音楽は、演奏者には対してコンクールの役割を担っていながら、聴衆に対して演奏の楽しみ方を教えてくれるようなラインナップだったように思います。アニメも音楽も楽しみ方は色々ですよね。また次回からは別の楽しみ方をきっとご提案できるはず…と信じております!
FRENCH COMPOSERS③■ Enesco: Cantabile et Presto -- エネスコ: カンタービレとプレスト
エネスコのピアノ作品で知名度が高いピアノソナタの中で、その録音は同じくルーマニア出身のピアニスト、リパッティのものが一番有名でしょう。なんとエネスコはリパッティの名付け親だったそうです。優しい笑みを浮かべたエネスクと、その顔をちっちゃな幼児のリパッティが見上げている、二人の心温まる写真が今でも残っています。この写真では二人ともそれぞれヴァイオリンを抱えているのですが(エネスコがヴァイオリンを教えていたことは想像に難くない)、やがて格式高いピアニストとなったリパッティと一緒に演奏して残したエネスクのヴァイオリンソナタの録音は端的に言って、すごい名盤です。
優秀なピアニストが側にいるということは、作曲家にとってはもはや資質の一つとも言えるくらい重要なことだと思われますが、側にリパッティがいたことは、エネスク自身がピアノをよく弾けたことを除いても、彼の非常に自然な指運びを促すピアノの譜面の理由の一つでもあったことでしょう。
FRENCH COMPOSERS①■ Taffanel: Andante Pastlal et Scherzettino -- タファネル: アンダンテ パストラールとスケルツェッティーノ
というわけで、タファネルの音楽人生は非常に大局的でした。フランス楽壇の中心であったパリ音楽院管弦楽団、オペラ座管弦楽団両方の首席奏者を務めた後に、この二つとものオーケストラの指揮者も務めました。今ではフルーティストがオーケストラを指導する立場に就くことはあまりありませんが、彼の活動の歴史を辿ると、その仕事を全うしたことは自然な流れのように思えます。
まだまだ「新しい」楽器であったフルートを多用する作曲家たちの、フランス音楽が盛り上がってくる時代において、タファネルの存在は大変重要なものだったでしょう。
Today's List■ Sancan: Sonatine pour flute et piano -- サンカン: フルートとピアノのためのソナチネ
お話した通り、この曲は1,2楽章間と2,3楽章間(そもそもこれらを「楽章」と呼ぶのかは定かでありませんが)が、それぞれピアノとフルートのカデンツによって繋がっています。カデンツというと元を辿れば協奏曲で使われていたもので、演奏者の即興的な要素が色濃く、それがテーマに収束されていく様子が鮮やかなものです。そんな技法がこの小さなソナチネという曲の中でも使われています。
即興-テーマは大きな揺り戻しのようなものですが、フランス音楽において「揺れ」は重要な表現のうちの一つです。ドビュッシーが大々的に用いた、連続するテクスチャーの交代とでも言えるような手法は、揺れないテンポの中で揺れを再現できる発明だったと言えるでしょう。フランスの作曲家たちはその遺伝子を脈々と引き継いでいます。サンカンも例外ではありません。たくさんの小さな揺れが、この曲には詰め込まれています。
それら全てが即興とテーマという揺れに包括されたことによって、形式美の中に身を置きながらも、風や水といった不確かな感触を感じられる一曲となっています。
Today's List■ Telemann : Drei dutzend Klavierfantasien TWV33:27 emoll / Zwolf Fantasien fur flote solo TWV40:2-13 no.1 Adur, no.12 gmoll -- テレマン: チェンバロのための36のファンタジー TWV33 第3巻 第3番/フルートのための12のファンタジー TWV40:2-13 第1番、第12番
フルートのファンタジーにつけられた作品番号40というジャンルは「通奏低音のない室内楽」となっています。このジャンルには旋律楽器のアンサンブル曲なども含まれますが、フルート一本で演奏する作品であっても、室内楽(合奏、重奏)に分類されるというわけです。聞こえないアンサンブルが存在するという、旋律だけを演奏することの難しさが感じ取れますね。
ところでファンタジーという名を聞くと、咄嗟にそのままファンタジックなイメージ(邦題は「幻想曲」となります)を持ってしまうかもしれませんが、内実はいわゆるメルヘンなファンタジーとは少し趣が違います。
では何故そんな名前が使われ始めたのかというと、どうやらルネッサンスの頃には作曲家のアイデアを「神からの啓示」と捉えていたことから来ているようです。私たちが考えるよりもずっと霊的な感覚ですね。日本も西洋も関係なく、科学が発展する前の人の世はかなりスピリチュアルなものでした。またその頃は対位法的な音楽が主軸としてあったので、厳格なその方法論と、盛んだった即興演奏という化学反応がファンタジックであったのかもしれません。
Today's List■ Telemann: Flute Sonata TWV 41:G9 Ⅰ Cantabile/ Ⅱ Allegro/ Ⅲ Affettuoso/ Ⅳ Allegro -- テレマン: フルートソナタ TWV 41:G9 Ⅰ 歌うように/ Ⅱ アレグロ/ Ⅲ 愛情深く/ Ⅳアレグロ
ハンブルグは、港湾都市というそうです。海に面していませんが、海に続く川に沿って栄えていました。交易が盛んだと文化も方々から集まってきやすく、40歳からハンブルグに腰を落ち着けたテレマンも、異国の文化や音楽に触れる機会が多かったのではないでしょうか。
さてテレマンが自ら刊行した雑誌「忠実な音楽の師」は隔週で出版していたらしいのですが、その中にはテレマン自身の新曲や他の作曲家たちの曲なども載せられた、購入を続けると長大な曲集になるというものだったそうです。そりゃあ、みんな買いますよね。さすがの商売上手です。
また、在庫リスクを避けるため、楽譜を出版する際には予約制を取り入れたことも有名です。画期的だし、強気。抜け目のなさに感心しますが、一方で『食卓の音楽』の予約客リストの中にはヘンデルの名前があったそうです。20歳の時に出会った年下のヘンデルは、その頃すでに名の売れた作曲家でした。テレマンがこれを出版したのは46歳の時。無名時代から26年も続いた友情を示すかのような予約名です。なんとまあ、ほっこりするエピソードでしょう…